探偵の姉はゼロを目指すヒーロー8 (ページ15)

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「工藤音風が本当にそう思っているのか、よく考えろ」

「「……」」

全員が考えるように黙る

この手紙の内容全てが、音風の気持ちなのか…

ー工藤邸ー

『…………』

泣き腫らした目で、スーツケースに荷物を詰めて行く音風

「音風、準備は？」

『…もうちょっとかな…』

「そう？アメリカの転校手続きは、来週だからね」

『うん…』

逆らうことも、言い返すことも諦めた音風は、大人しく荷造りをしている

パタン、とスーツケースを閉じれば窓の方へ歩いていく

『……今頃みんな、寮生活かぁ…』

本来なら、自分もそこにいるはずだった
音風は部屋を振り返る

まだ後少し残っている荷造りに、手が止まりそうなるが無理やり動かした

ーハイツアライアンスー

「相澤先生」

「ん？」

「音風ちゃんに、会いたいです」

「……」

アライアンスの前で、中に入らずにそう力強く言う

「手紙では、頑張るとか言ってるけど、下の方になると字がよれてる
書きたくないことを書いてるってわかった」

「音風ちゃんは、雄英にいたい」

「だから、私達が工藤の両親を説得します」

「僕達が説得すれば、絶対に、工藤さんを雄英に戻してくれるはずです」

「…………。米花町2丁目22番地…」

「「え？」」

「工藤の家の住所だ。行くなら、今だぞ。早よ行け」

「「はいっ!!」」

バタバタと駆け出すA組に、相澤も「甘いな、俺も」と自分の頭をかいた

ー工藤邸ー

『……えーっと、荷造り全部終わった、かな？』

意外と少なかった荷物に、音風はベッドに腰掛けた
雄英高校1年A組を転校してアメリカに飛びたつ

『…………心残りはない
ヒーロー科のある学校に行くんだから、母さんや父さんを心配させないためにも…』

口ではそう言っても、頭では理解できない
自分の意見を聞いてくれない親、でも、心配させてこんなことなるのは当たり前だと思ったから

音風は素直に聞き、受け入れた

オールマイトにも謝罪のメールを送り、後は緑谷やA組にメールを送るだけ

『…………一目、会いたい』

大好きなクラスのみんなに、大好きな人に

FABOOOM!!!!

『な、何!!?』

いきなり窓が割れた

「工藤!!!」

窓から現れたのは

「来い!!!!」

『どう、して』

爆豪だ

「音風!?」

バタバタと部屋にやってきた有希子に、爆豪は目を見開いて「急げ！」と自分の手を音風に差し出す

「音風!?」

『っ……ごめんなさい！』

ﾊﾟｼｯ

「ハッ…！最初から、こうすれば(かっさらう)良かった」