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「そーいや、工藤」
『ん?』
爆豪の額に指で押さえつけている音風に、上鳴は「この間の」と聞いた
「『といっても、そうじゃないの』…の、後になんて言おうとしたんだ?」
『あー、その事?』
爆豪の頭を掴み、席につかせた音風は『実はね』と言葉を並べる
『私の“個性”は、自分自身の血液を操るっていうのは、みんなに教えた通り。
だから大怪我をしたり、血が足りなくなったり、フラッシュになっちゃうの』
「フラッシュ?」
「何ですの、それ?」
小首を傾げる全員に『要するに』と言う
『暴走だよ。自我を忘れて、手当たり次第その辺のものを壊して行く迷惑な敵と化するんだ…キャパオーバーは、特にないけどね』
と、眉を下げて『ありがた迷惑な“個性”なんだよ』と手のひらを上に向けお手上げ状態です、という体制に出た
『まあ、血液の30%の血を失うとフラッシュになる
それをさらに放置しておけば…失血死してしまうの』
「「えぇ!?」」
緑谷「だ、大丈夫なの!?『大丈夫じゃないわよ』えぇっ!!?」
サラッと笑いながら言う音風に緑谷は「そそそ、そんな」とガクガクした
『危険な“個性”だから、簡単に使っちゃダメだって小さい時から言われてたんだけど…。ヒーローになるって決めた以上、それを乗り越えなくちゃいけないって思ったの…
だから、フラッシュになりかける前に鉄分を補給したり、チョコレートを食べてフラッシュを防いでるってわけ
でもまあ、フラッシュの酷い時は…人間の血液を飲んでしまう事』
「「え…」」
音風が自身の手のひらを見つめながら静かに言う
『私のこの力は、祖母から受け継いだもので力の大きさもそれと同等、いやそれ以上かもしれないと母さんや父さんに言われた
ヴァンパイアが人間を吸血するのと同じで、人間で言えば貧血状態。
そんなヴァンパイアの“個性”を持った人間が、人間の血を見てしまえば…どうなるか想像がつくでしょ?』
ゴクッ…と生唾を飲む全員に『本能と欲望のままに血を求めて暴走してしまう』と、音風は静かに語る
『それがヴァンパイアだから、なおさらね。特に、私の場合は祖母よりも強いから、それ以上になるかもしれない』
一気に暗くなる車内に『でもまあ』と音風があっけからんと笑った
『そんな証拠、どこにもないんだけどね』
「な、ないのかよ…」
「ガ、ガチかと思ったぜ」
『あはは…』
「もう着くぞ。いい加減にしとけよ…」
「「はい!!」」
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2019年1月4日 22時