探偵の姉はゼロを目指すヒーロー2 (ページ45)

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『爆豪くんもゆっくり家で休んで』

「…ぉう」

小さく頷いた爆豪を見た音風は『うん』と頷いた

「なんだ、もう帰るのか？名探偵」

『本永警視…帰るって言うよりも、事情聴取ですかね…』

「取り調べはいいのか？」

『えぇ…』

「相変わらず、被疑者の取り調べはいかんのがお前さんらしいな」

本永は「ホラ」と捜査資料を渡してきた

「水岡と相田の事件だ。お前さん、気になっとっただろ」

『えっ、いいんですか？』

「ああ。また署に送ってくれればいいさ」

本永はそのまま病院を後にした
音風は早速捜査資料に目を通した

(20年前…あ、連続女子高生ひき逃げ事件…)

捜査資料のタイトルを読み、ペラペラと読み込んで行く

(被疑者の動機は不良女子高生にカツアゲされた恨み…
手口は夜、彼女達が1人になったところを車ではねると言う悪質なものだった
当時、不良の間で流行っていた「ロンタイ」という制服のスカートの丈を長くした女子高生を高校を特定せずに手当たり次第にひき逃げをしていた
最初は当て逃げ程度だったが、徐々にエスカレート。
ついに死人が出てしまった…警察は女子高生にそのスカートで出歩かぬように警告し、ぱったりと事件は止まったが、そんな時、ある女子生徒2人がおとり役を買って出ると言ってきた
死んだ友人の敵を取るためだと言ってだ
もちろん警察は止めたが、警察に反感を持っていたその女子生徒2人を止める術もなく、仕方なく水岡をその2人の生徒の護衛につかせた

事件は起こってしまう
被疑者は彼女達を水岡もろともひき殺そうとした
幸い、水岡と女子生徒が車のナンバーを覚えていて、被疑者は確保できた
が、その代償は大きいものだった
水岡の方は頭の怪我だけで済んだが、女子生徒達は頭と体を強く打ち、警察が到着した時には血まみれでもう虫の息状態だった…

まさか、帽子を取らない理由って…)

捜査資料を読み終えた音風が結論に至ると「あら」と声が聞こえる

『え？』

「やっぱり、音風さんね」

『ゆ、ゆりさん』

水岡ゆり、水岡警部の妻である彼女が音風に話しかけてきたのだ

「丁度、今武藤さんと美菜穂が帰って」

『ゆりさん、あの少しよろしいですか？』

「え？」

ゆりの耳元で『実は』と言う

『20年前の女子高生ひき逃げ事件のオトリ役買って出たのってもしかして…』

「私と美菜穂よ」

『ですよね』