探偵の姉はゼロを目指すヒーロー2 (ページ44)

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『爆豪くん!!!』

「あ？」

『頭の止血するから、ちょっとかがんで！』

「あ？あ、おい！」

タオルを取り出し、爆豪の頭に抑えてやる
止血をしてやりながら、音風は爆豪の額についた血を舐めた

『傷口は病院に行って治療してもらおう？血だけは舐めて綺麗にしておくから』

頭を押さえながら爆豪の血を舐め取り、音風はすぐに応急処置を施した

『よし、急いで病院に』

「あ、うん！」

「勝己…」

自分を守った息子に、光己は眉を下げた
自分を守ったから息子が怪我をしてしまった

『光己さん』

「！」

『爆豪くん、とっても凄いですね。人を守るというのは、とても勇気がいります
あなたの息子さんは、本当に勇気のある素敵なヒーローですね』

光己を優しく抱きしめる音風に「えぇ」と光己は静かに涙を流した

ー病院ー

『全治一週間、軽い方で良かったね』

「…フン」

頭にガーゼを当てられ包帯を巻かれた爆豪は、「こんなもんいらん」と言いたげな顔だった

『よく光己さんを守ったね』

「…あんなババァでも、腹痛めて俺を産んだんだ。守らねぇといけねーだろ…
俺はオールマイトを超えるヒーローになるって決めたんだ
あんなんで立ち止まってられねぇ」

『…そうだね』

音風はリュックを背負いながら病院のロビーへ爆豪と共に歩いた

『傷、跡残る？』

「残らねぇ」

『そう…良かった』

ホッとため息をついた音風に爆豪は「ん？」と音風の頭を見た

「んだ、この頭の傷」

『え？あ、あぁ…去年の春先に…キミと緑谷くんと出会った後、すぐに病気になっちゃって…手術したのよ』

頭の手術痕に触れた音風は『これは残っちゃうけどね』と舌を出した

「そうか…」

「！勝己!!」

「ババァ…ぐえっ！」

ロビーに戻ってきた2人を見つけた光己は、手当てを受けた爆豪に抱きついた

「ありがとう…守ってくれて…」

「…別に」

素直になれないのか、はたまた素直になろうとしない爆豪に音風は微笑み勝の方へ歩いた

『今日はこのまま帰った方がよろしいでしょう…お二人もお疲れのようですし、ゆっくり休ませてあげてください
もちろん、勝さんも』

「ああ…」

明らかに疲れが見える勝に頭を下げて光己と爆豪の元へ向かう

『お二人とも、この後は家へ。事情聴取は後日となります。今は今日起きたことで混乱していると思います、ゆっくり家でお休みになって下さい』