探偵の姉はゼロを目指すヒーロー2 (ページ27)

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26話カフェページ27

翌日、学校は臨時休校となり音風は久しぶりに図書室で本を読んでいた

『ねぇ、新一？』

「なぁに？」

『下りない？』

「下りない」

ペラペラと音風の膝の上で本を読む新一に音風は『新一～』と困り顔になる

『姉ちゃん、ちょっとトイレ行きたいんだけど？』

「って言って、逃げるでしょ？」

(どうしてバレてるのかしら)

絶対に退かないからね、と豪語する新一に音風はどうやって逃げるかなと考えた

昨日からべったりの新一に、音風もゆっくりできない

(母さん、なんとかしてくれないかしら…)

スマホを取り出し、メッセージを送ると「任せてー！」と返信が来る

(どうするつもりかしら…母さん)

スマホを口元に当て、考えていると「新ちゃーん」と有希子の甘ったるい声が聞こえてきた

「蘭ちゃんが来たわよー」

「!!!」

蘭が来たと聞いた新一は、音風の膝から飛び降り急いで玄関へ向かった

『ありがとう、母さん』

「いいのよー。新一のシスコンも直さなくちゃね」

キャー、と騒ぐ有希子を置いて音風は部屋に戻り隠して置いた靴を履き部屋の窓から外へ飛び降りた

『ごめんね、新ちゃん♡』

ペロッと出した赤い舌は、いたずらっ子のようだった

「姉ちゃーん、蘭が一緒に……ってあれ」

「どうしたの？新一」

図書室へ戻って来た新一は、中にいるはずの音風を探した
どこを探していないので、すぐに音風の部屋へ向かった

部屋に入れば、開けっ放しの窓から風が吹き抜けパステルカラーの水色のカーテンがヒラヒラと風になびいている

「ねっ…姉ちゃんのバカアアア！」

『とりあえず、静岡の方へ来たけど…ホント、財布とスマホ…必需品持って来といて正解』

泊まり用のリュックをひっ掴んで家を抜け出して来た音風は、スマホを取り出した

『2時、か…新一が寝る時間は大体10時から10時半の30分間…その後に帰っておけばいいか…母さんにも連絡しとこ』

有希子に帰りが遅くなると連絡すると「気をつけてね～」と、軽い返事が返ってきた

(女子高校生が遅くなるって返して来たら、フツー何時とか聞くだろ…)

スマホを片付け自由な母親に悪態を吐くと、音風はリュックを背負い『さて…』と息をついた

『どこ行くかな…？』

好奇心旺盛なこの性格は、一体誰に似たのだろうか…