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「ンなわけあるか」
『あら、そう』
爆豪の背中を見ながら歩き出すと、爆豪が立ち止まる
『何かしら?』
「…お前、怖くねぇんか?」
『え?』
体の半分を向ける爆豪は、眉が下がっていた
「敵に立ち向かって」
『な、に言って』
「怖くなかったんか?」
『っ……』
ハッと目を見開き、グッと口を閉ざす
「怖くない奴なんかいるわけがねぇ。あの場所で、1番怖かったんは、お前だろ
連れて行かれるかもしれねぇっつー、恐怖や俺らを傷つけるかもしれないっつー怖さ
守らなきゃいけないっつー責任感。どれとってもお前、限界だったろ」
『…別に、そんなことないわよ』
爆豪から目をそらし音風は歩き出す
『教室に戻りましょう。事情聴取があるみたいだし、覚えてること話さないと帰れないわよ』
「いつまでも強がれると思うなよ」
『……』
「いつか限界くんぞ」
先に歩く音風に爆豪がそう言う
(わかってる…わかってるわよ
でも、でも…強く生きなきゃ、強く思ってなきゃ…何も守れないじゃない
こんな“個性”を持ったんだから。強くならないと…いけないんじゃない!)
頬に温かい何かが流れるのを音風は気付かないふりをした
事情聴取も終わり、制服に着替えた生徒達はやっと家へと帰途へ着いた
降谷達5人は、普通科の授業のノートをクラスメイトに見せてもらうため、音風とは別の時間で帰ってしまった
『あ…』
「姉ちゃぁぁぁぁぁん!!!」
『新い…ぶっ!』
泣きながら突進してくる新一を抱きとめようとするも、勢いがありすぎ音風の腹に直撃した
そのまま音風は後ろへと倒れてしまった
「し、新ちゃん!?」
「姉ちゃぁぁぁぁぁん」
『わ、わかったから降りよう?』
ぐちゃぐちゃの顔で抱きつく新一を下ろし、制服の埃を叩いた音風
『ごめんね、心配させて』
「姉ちゃぁぁぁぁぁん」
『わかったから、お鼻チーンしよ?』
「チーン」
ティッシュを使い、鼻をかんだ新一に『いい子いい子』と、頭を撫でてやる
「怪我、とかねぇのか?」
『うん。ないよ』
ギュッと抱きしめてやるとブワッと新一は、また泣き出す
『え、ちょっ!?』
「姉ちゃん。明日からオレ、姉ちゃんと一緒にいるからな!」
『え?』
新一がそう豪語していると「新ちゃん、音風」と有希子がやって来る
「早く帰るわよ」
『あ、うん』
(姉ちゃんは、オレが守るんだ!)
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2019年1月4日 22時