36話 シュシュ ページ2
「犬め!!」
『あ"ーー…血が足りない』
「死ぬなあああああ!!」
『ちったぁ黙れ』
泣きながら反応するルフィにイラッときながら檻を蹴飛ばすと「あんた達、一体何やってんの4人して…」と先ほどの女の子が呆れた顔で見下ろしてきていた
「こんな道端で寝てたら、バギーに見つかっちゃうわよ！」
「よォ、航海士」
「誰がよ!!! 一応お礼をしに来ただけよ。助けてもらったからね」
「礼？」
「あ」
『なに…』
「鍵!!! 檻の鍵、盗ってきてくれたのか!!」
「まァね…我ながらバカだったと思うわ。他に海図も宝もなにひとつ盗めなかったもの、そのおかげで」
「はーーっ!! ホントどうしようかと思ってたんだ、この檻!!!」
「これで一応、逃げた苦労が報われるな」
檻の前に転がっている鍵を一瞥して『とりあえず、輸血が欲しいよ』と言って青空を見上げると「あ」という声に再び顔を上げると犬が鍵を飲み込んでいた
「このいぬゥ!!!! 吐け、今飲んだのエサじゃねェぞ!!!」
「コントかよ…」
鍵を飲み込んだ犬の首根っこを掴んで揺らし始めるルフィに「くらっ!! 小童ども!!」という声が響き渡る。やめて、傷に響く…貧血の人間になんてことするんだよ…
「シュシュをいじめるんじゃねェっ!!」
「シュシュ？」
「誰だおっさん」
「わしか。わしはこの町の長さながらの町長じゃ!!!」
アッシュside
「青子は？」
「休ませてきた。となりはわしの家じゃ。避難所へ行けば医者がおるというのに、寝りゃ治ると言って聞かんのじゃ。すごい出血だとゆうのに!!」
ベッドですやすや眠っている青子を一瞥してから家を出て檻の中にいるルフィの元に戻る
「この犬、シュシュって名前なの？」
「ああ」
「こいつ、ここで何やってんだ？」
「店番さ。わしはエサさながらをやりに来ただけ。さながらなんじゃ」
「あ！本当、よく見たらここお店なんだ」
「ペットフード屋、な…」
ペットフードと書かれた看板を見上げると、町長だというプードルが話を始めた
この店はシュシュの主人が店長で町長の親友だそうだ。10年前からシュシュと主人が店をやっていた大切な店だと言う
シュシュの顔や体には真新しい怪我ができているが、それでも店番を続けるのに俺は疑問を持つ
「主人はどこに行ったんだ？」
「奴はもう、病気で死んじまったよ。3ヶ月前にな、病院へ行ったきり」
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年3月12日 19時
