元殺し屋はヒーローになる25 (ページ8)

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193話ハイエンドページ8

「……………呪われてるのよ、あの子は…廻は
父親にそっくり。執着するわ、生まれてくる…可愛い妹に」

「僕がキミの孫を守る義理はないよ？」

「お願いよ、ラルラヴ…あなたと私の仲だと思って？
私もおじいさんも、きっともう…長くはないわ」

「……………」

「お願い、ラルラヴ…生まれてくる私たちの可愛い孫をどうか、敵(ヴィラン)から救って？」

そう言われて、3年後…ラルラヴは小高く穏やかな小さな家を訪れた時、血生臭いその光景を見た
死後半日と言われてもおかしくない凄惨な現場を見て、警察もヒーローもなぜ駆け付けないのかわからなかったが、ラルラヴは急いだ

3年経ったのなら、まだあの子たちは道を踏み外していないはずだと
小さな家の小屋の中、その子たちはいた。命を守るために

「…キミが、廻だね？」

「…あんた、誰？あいつらの、仲間？」

「僕はヒーローだよ…ラルラヴ、そう呼んでくれ」

「ラルラヴ？」

「あぁ。その子がキミの妹？」

「…破無って言うんだ」

『う？』

パチクリとしたその青い瞳と艶やかな茶髪は、生き写しだと言うほど似ていた。可愛らしいふっくらとした頬で『んふふふっ』と現状を知らぬままくふくふと笑っている破無…のちに、青子と名乗る少女はラルラヴに微笑んだ

「キミたちをここから逃がすことにした」

「え？」

「この国よりも安全な国に住むんだ。大丈夫、その国まで僕が必ず送り届けるから」

琥珀の瞳が揺れ動くと「じゃあ…お兄ちゃんに挨拶してからいく」と言って妹をラルラヴに任せて走り出した
ついていくべきか迷っていたラルラヴだが、『はなも、いく〜！』と駄々をこねた青子を連れて後を追いかけることにした

「…廻くん？どうしたんだい？」

「はっ…俺たち、もうここにはいられないっ！この国を出て、安全なところに行くことになったんだ」

「…そうなんだね。僕の弟とも遊んで欲しかったけど、仕方ないね」

『おにいちゃ、泣いてる？』

「…泣いてないよ」

「破無ちゃん」

『ん？グリフ？』

「元気でね…今度会った時、僕の弟と遊んでくれるかい？」

『うんっ！』

ふくふくの頬を優しく突かれた青子は『んふふふっ』と優しい笑みを浮かべる男に抱きつきお別れのキスを頬に落とした
そして、男が抱いている赤ん坊に『またね、赤ちゃん』と幸福を祈るキスを落とした