元殺し屋はヒーローになる25 (ページ34)

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コキコキと骨を鳴らして脱力する男は頬にダイヤのマークが描かれていた。緑色の瞳を光らせたあと、「しかも、怖かったぁ」と心底ホッとした声をあげる

「…ロゼリア、これ…キミは耐えれるの？」

先ほどの青子は、彼の“個性”で具現化した青子だったのだ
分倍河原の上位互換の“個性”を持つ男は、青子を作り出しホークスと共に分倍河原を取り押さえようとしていたのだ

つまり、今先ほどの青子は偽物ということだ。本物は、常闇の言っていた通り、市街地での避難誘導に出ているのだ

そして、ホークスを連れて脱出した常闇はダークシャドウの力を借りながら上空を飛んでいた

「薄汚くなどないぞ、ホークス!! 信じてる！皆信じている！正しいことをしたんだと！だから！死ぬな!!」

ドパ、と涙を流しながら気絶した自分の師に訴える

ー蛇腔病院近くの市街地ー

「ご家庭や近隣に身動きの取れない方がいましたら、お教えください!! この街一帯、対敵戦闘区域になる恐れがあります!!」

エンデヴァーのサイドキック、バーニンの声で避難誘導が行われていく中、避難誘導に駆り出されているA組も手伝っていた

「こっからは護送車だ。街から出ろ」

「ありがとうねぇ。ふわチョコ饅頭あげるよ」

「口乾くわ！いーから行け！」

「ご厚意だよ、もらっときん」

「てめーはふわチョコ饅頭が気になるだけだろ」

「お年寄りにもああなのね」

暴君の爆豪を恐れもしないお年寄りもなかなかのものである

「入稿前のアナログ原稿があるんだ。うちのビル壊さないでくれよ!?」

「大事な原稿は我々がお守りします！」

ヒーローたちが避難誘導や避難完了の確認を行なっていく中、二つの影が動かず固まっている

両腕を抱え、冷や汗を流し、目を揺らし、さらには驚き脳内の声を聞くために意識が傾いている

“来るよ”

「緑谷、青子。どうした」

「サボってんじゃねーぞ、どういう了見だ！」

『……(ｶﾞｸﾝｯ!!』

「!? 青子!!」

青子が膝を折り地面に座り込み両腕を抱えて固まっているのに轟が駆け寄り、肩を抱いて覗き込む

「おい、青子！」

『………』

“止めるんだ”

(始まりの…ワン・フォー・オール…初代の声)

(シュヴァルの声…)