元殺し屋はヒーローになる25 (ページ31)

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199話目覚めるページ31

「ねえ、転弧。ヒーロー…まだなりたい？」

目の前に現れたのは、自分の母だった

「目の周り、ひどくなってきちゃったねえ…。掻くとまた痒くなっちゃうよ」

「もう大丈夫だよ、お母さん」

幼い頃の死柄木が答える

「転弧!! 書斎に入ったな!?」

今度は父が現れ、手を向けてくる父に両手を向ければ壊れる

どこにもいなくなった父の次は

「弔」

「先生！黒霧みたいになってら」

「おいで」

「敗北を予期した彼は、後継に全てを託した。己の“個性”を渡すことにしたのじゃよ
ワシと一緒じゃ…自身の“複製個性”を取り込み、本物(オリジナル)を死柄木弔に渡すことにしたんじゃ
そして、その動きを知ったシュヴァルもまた、後継に全てを託した。あの忌々しい小娘に、全てを…じゃが、悪夢はこれからじゃよ……。あの小娘は知らんのじゃ…自分に何が起こるのか…知らんのじゃよ…！」

してやったりという顔で言う殻木に苛立ちが募るばかりだったが、今はそんなところではない

やめろ、という声が響く
自分の体や腕を掴む、無数の手。祖父母、母、華、そして…父

「転弧！」

そして…写真で見た、おばあちゃん

「忘れないでね」

ヒーローだという、彼女の言葉など

「もう」

今の彼には届かない

「俺を否定するな」

ﾋﾟﾘｯ

大きく跳ねる体、動き出す心臓の器官、そして始まる

ー蛇腔病院近くの市街地ー

避難誘導を行なっている雄英高校ヒーロー科A組の中、ただ2人だけが足を止め両腕を抱えてその場に立ち止まった
ドクン、ドクン、と心臓が音を立て始め、全身が冷や汗を流し、そして感じる

“来る”

“来るよ！”

聞いたことのある声が響く

ー少し前群訝山荘ー

「あかん、ツクヨミ！出たら、あかーーーーーん!!」

ファットガムの静止を振り切り、ファッタクから飛び出したツクヨミこと常闇

「なにしてんだ、バカ!!」

「最上階！ホークスと誰か！恐らくピンチだ！」