元殺し屋はヒーローになる25 (ページ30)

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「圧倒的な存在感、仏の如き微笑み、現人神とは彼のことじゃった」

プレゼント・マイクは急に触りたく無い嫌悪感に襲われた

「ワシの“個性”を運動能力と引き換えに、人の二倍の生命力を持つ「摂生」。ワシはこの“個性”を彼に捧げた
ワシの中に今ある“個性”はなァ、己自身の複製でのう…」

怒りを凌駕している

「キミ…黒霧の友人じゃろぉ」

「！」

「あの時(・・・)なァ…本当は「抹消」が欲しかったんじゃがのう…」

彼は今、とてつもなく大きく、悍ましいものの一端に触れている

「“彼”にも、ワシの名前が知られとったが…彼はワシよりも、あの小娘を気に入っておった」

「……誰のこと」

「知らんのか？この世の全てを知ると噂されとる…妖精族を」

「!?」

「実在するその住人は、ワシの論文よりも彼女の脳に興味を持った。たかだか数年生きただけの小娘に、ワシは全知全能の神の力を失った…
彼さえいれば、さらに夢は実現していたのにのぉ…」

「その神って、まさか…」

「妖精族の王にして、“個性”は「全知全能」及び「不死」と最強の妖精…シュヴァルじゃよ」

玉座に座り、長い足を組み頬杖をつき、緑に妖しく光る瞳と白い歯を見せてささら笑うと噂されている妖精族の王。いや、この世界をすべる男だ

何百年と生きているその妖精の王は、殻木の言う小娘に惚れている。殻木の言う小娘なんて、たったひとりだ

(まさか、まさか……！)

相澤の教え子で、超生物の元生徒。ヤクザの若頭の妹で、ファンシーズの義妹。ラルラヴが託したペンダントを渡す相手。なぜか、この時、プレゼント・マイクは思った

最強のヒーローにして、最悪の敵は

夜神月青子ではないのかと

ー無意識の世界ー

死柄木弔はある世界にいた。というよりも、記憶のカケラの中だ
幼少期から現在までに至る記憶が粉々になりながら見えては消えていく

「ここは…」

見覚えのある風景に死柄木が眺めていると、「お父さんはああ言うけどねえ」と背後から聞こえてきた聞き覚えのある女の子の声

「大丈夫だよ。私は転弧のこと応援してるから」

「華ちゃん」

「ごめんね。違うの、ひみつって言って見せたの私なのに、ごめん」

「あー。いいんだ、その件はもう」