元殺し屋はヒーローになる25 (ページ29)

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「死柄木は心臓が止まってる」

エクスレスが報告すると、プレゼント・マイクに抑えられている殻木が口を開いた

「仮死状態にして定着の負担を軽減させるんじゃ。…その容器は定着促進・維持・蘇生装置。死柄木(こ)のために生きてきた」

まるで絶望したように涙を流し始める殻木は、さらに叫び始めた

「終わる！終わってしまう!!! 魔王の夢が」

エンデヴァーたちの方では、駆けつけた増援が見られハイエンドを次々と薙ぎ倒していく。プレゼント・マイクは殻木を引きずりながら歩き始める

「脳無はてめェの指示で動いてんだろォ!? 向こうで暴れてる奴ら止めろ！ホレ、走るんだよ!! エクスレス、死柄木頼む！」

「ああ！プレゼント・マイク、これも頼む!!」

「あん？」

エクスレスが投げた小さな何かがキラッと光りながらプレゼント・マイクの手の中に収まる。小さなペンダントだ。ラルラヴが生前、エクスレスに託したものだ

血に濡れているそのペンダントを眺めて眉を寄せていると、「それを夜神月青子に渡してくれ！俺はここから離れられない！」とエクスレスが叫ぶのにプレゼント・マイクは「わかった！」と答えた

エクスレスがプレゼント・マイクと殻木を見送ると、その近くに何かの機械が動いていた
チューブで緩衝されて無事だったのか、未だに動き続いている

(壊しとこう！)

なんとなく、アレはいけないものだと感じ取ったらしい

プレゼント・マイクは走ることさえしない殻木を抱えながら来た道を走っていた

「70年前、世間はワシの論文を嘲笑した。超常特異点は、根拠薄弱の暴論だとのォ。奴らは目を背けたんじゃ
荒みきった世を平和に戻さんと足掻く時代に、「瓦解する未来」を指し示すことなどあってはならないと…」

「……………。……今は、“個性特異点”っつってカルト化してる。その学者は発表後に失踪…数年後に亡くなった…生きてりゃ120代の大台だ」

その時、プレゼント・マイクの脳裏に浮かぶのは、相澤が視た際にしわくちゃの老人になった殻木の姿だった
プレゼント・マイクは合点がいったのか、「なるほどな…！」と納得した

「追放され、住む場所も失った…。そんなワシに、唯一彼(・)だけが手を差し伸べてくれた」