元殺し屋はヒーローになる25 (ページ27)

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「機器はイカレとるが、データは…よしっ…！これ以上溶液が抜ける前に起こさねば
こんな…くそぅ。半端な形はまこと不本意じゃがっ。ワシとオール・フォー・ワンの夢の結晶…ああ畜生!!」

「ゴホッ…ヒュー…ヒュー」

必死に気力だけで意識を保ち、いつ燃え尽きてもおかしくない命を燃やし続けているラルラヴは、涙を浮かべる。指先一つすら動かせない。動かなければならないのに、動かせない

(お、れは…)

キミを、キミの笑顔を、未来を、これからを、守りたかった

「起きろ、死柄木弔ァ！」

スマホの画面に触れようとした殻木を見て、「や"…め"、ろ"…！」と言う濁声が掠れるほどの大きな声と衝撃が襲ってきた

「ラウドヴォイス!!」

プレゼント・マイクの“個性”のおかげだ。粉々になっていく設備を見て、吹っ飛ぶ殻木やカプセルが潰されて出てきた死柄木を見て、ラルラヴは血塗れの頬を緩ませた

(あぁ……ありがとう…)

また、これで…明るい未来に近づけた

現れたプレゼント・マイクを見て心の中で穏やかにつぶやいたラルラヴは、瞳を閉じた

“山田”

殻木の前に現れたプレゼント・マイクは思い出す
グッと振りかぶった拳を向けながら

教師寮で言った、友の声と言葉を

“お前がいくなら、俺も行くよ”

黒霧が共にヒーローを目指した白雲の肉体かもしれないと言われて、相澤が“個性”の使用の渇きからなのか、友人の変わり果てた姿に悲しんだのか、あの時流れた涙が脳裏を掠めた

“学生(ガキ)の頃の青い夢。こんな悪夢みたいな形でも”

“3人で”

「真贋確認！」

まだ自分達がヒーローについて学んでいたあの青い春。切磋琢磨し合い、競い合い続けたあの日、あの頃、3人がいつの間にか2人になり、力強く、前を向いて走ってきたのに

たったひとつの執念に、たったひとりの巨悪に、友人が利用された

「D・Jパンチ!!」

鋭く重い拳が、殻木を仕留めた

「それと、友達(同僚)泣かした分！」