元殺し屋はヒーローになる25 (ページ24)

今日:6 hit、昨日:13 hit、合計:19,140 hit

197-3 ページ24

「ぐっ…ハ！」

「ラルラヴ!!!」

ミルコを避け、ラルラヴの心臓部、右脇腹、急所ふたつを貫いた攻撃
血反吐を吐いたラルラヴの脳裏に浮かぶのは、幼い頃のくふくふと笑う小さく可愛らしい花のような女の子

(まだだ!!)

「ラルラヴ!!」

(ヒーローは絶対に)

あの子が少しでも笑えるように

悪魔から守るために

(諦めるわけには、いかないんだ!!)

ー数秒前ー

院内の脳無を倒したエンデヴァーたち一行は、ミルコ、ラルラヴが通ってきた道に出ると、目の前に大型のハイエンドと押し問答をしているクラストを見た

「何してる、クラスト!!」

「エンデヴァー!! 再生能力が厄介なんだ！」

「大丈夫です」

ガクン、とハイエンドの体が揺れた

「俺が消します」

炎熱で吹っ飛ばされたハイエンドを踏み倒し、ミルコとラルラヴが相手をしていたハイエンドたちを相殺しようとするエンデヴァー、クラスト、プレゼント・マイク、そして相澤

細い道に向かって何かを放っていたハイエンドを殴りつけたエンデヴァーは、ハイエンドの顔にギチと被せられたものを見つめる

(皮下に、幾重もの骨の層)

「エンデヴァー!!」

相澤がエンデヴァーの相手を視るのに一瞬のラグがあった
早くとどめをさすように促した相澤と、促されたエンデヴァーは火力を上げる

ー最奥の部屋ー

血反吐を吐きながら、目の前にあるカプセルを見つめてゾワリと総毛立つラルラヴは、ダメだと悟る

(視界に入った瞬間に身体が理解した。生存本能…ダメなやつだ!! ダメだ、これ(・・)は!! これ(・・)は出しちゃいけない!! 何を差し置いても!!)

「やめろォオオ!!!」

「バク」である彼の“個性”は吸い取った悪夢を自らの力に変えることができる。今まで吸い取ってきた悪夢を全て右の拳に詰め込む
最大威力であるその拳をカプセルに向け、破壊する

「ラルラヴーーーー!!!」

「ゴフッ…」

後ろに引っ張られていくミルコが叫ぶが、その場で地面に落ちたラルラヴは真っ赤な血を大量に流し、ヒューヒューと虫の息になりながらミルコを見送る

「キャアアアアア!! やだァあああァアアア!!!」

叫ぶ殻木に、ラルラヴは痛みで意識を保たせたまま思いを馳せた