元殺し屋はヒーローになる25 (ページ22)

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197話ヒーローはページ22

「涙腺が焼けて泣けねえんだよ、俺ァよ！トゥワイスがいりゃあ俺の夢はより確実(・・・・)に叶ってたんだ！悲しいに決まってる！」

『っ！』

「すげえ悲しいよ」

『あ"あ"あ"!!』

ホークスを庇うように両手をつき、炎に焼かれる青子にホークスは「青子ちゃん…!!」と苦痛に歪んだ顔で目の前のヒーロー候補生の名前を呼ぶ

『…ッぐ！連合の…っ、素性を調べたっ！お前と…死柄木だけだ!! 何も出なかった人間は…!! お前、ホークスと私の名前を知ってた…!!』

鷹見啓悟と治崎破無。ホークスの名前よりも、青子の本名は知っているだろう。治崎廻と共に連合を訪れた時に顔を合わせていた

だがあの時、彼女の顔立ちはほんの少しだけ変えていた。いや、髪型で雰囲気を変えてもいた。だから青子とはわからない。声色だって、服装だって、雰囲気だって、仕草に装い、全て変えていたのに、何故だ？

いや、なによりもあの場に荼毘はいなかった

『誰だ…』

ホークスは目の前にいる少女を見て、自分の過去を振り返る。本名を隠し捨て、新たな自分として生きてきたその生き方が、似ていて違った

“啓悟くん。この名前とは今日限りでさよならだ”

まだ幼き日のホークスは、小さなエンデヴァーのぬいぐるみを抱きしめて大人を見上げていた

“今日からキミには、ここで特別なヒーローとなるための専用プログラムをこなしてもらう”

“厳しい訓練になるけど…大丈夫かい？”

拒否権などない。本人の意思関係なく、専用プログラムは適用されてしまう。幼いホークスはそれを理解していたのか、小さく頷き返した

そして、口を開く

“俺もこの人みたく、悪い奴をやっつけるヒーローになれますか
俺を救ってくれたみたく、みんなを明るく照らせますか”

小さな自分の光を眺めて、まだ未熟な子どもが口を開き、なりたい自分を言葉にした
憧れを、夢を、抱いた小さな胸は、やがて大きな背中となり、意志を持ち、敵を討つヒーローとなった

『うぐっ…！』

(青子ちゃん！)

焼かれている青子がガクリとホークスの方に倒れる。それを支え、入れ替わろうと彼女を庇おうとし目一杯に荼毘を睨む

「誰だ、お前は」

彼女が聞いた言葉を再び言えば、耳を疑う言葉が返ってきた