元殺し屋はヒーローになる25 (ページ15)

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逆光の影で顔色が見えない男の後ろには、怒りをも静かにたぎらせている女がいた
青い双眼を冷たく宿し、茶色い艶のある髪の毛は砂煙の中でも輝いて見える

「襲撃日時は暗号でやりとりしました。いやー、めちゃくちゃ大変でしたよ」

『今回はとにかく数が脅威だったし』

「おい、おいって、なァ!?」

「「二倍」のあなたに少し猶予も与えたくなかった」

『お前を常にマークする必要があった』

2人「「会議前に解放思想のおさらい」自然でしょ」

「ホーク」

名前を言う前にヒーローホークスの剛翼がピタリと目の前につけられた
コツン、と踵を鳴らして歩く女は『抵抗すんなよ』と冷ややかな声で吐き捨てている

『お前はこのまま拘束して、警察に引き渡す』

「ちょっと…待てよ…」

聞いたことがある

見たことある

だってこの女は

「あああ、ねぇえ」

いつも笑ってあの男の隣に立ってた

Mr.コンプレスの腕を吹っ飛ばし、マグ姉を殺した男のそばに立ってた

「いっっつも、こうだあ」

青い双眼、白い手足、長い茶髪、そしてその奥に見える人を人とも思わない気配と色

「またかよォオオお…！」

信じたのに信じてたのに

この2人を

「信じて…信じてあげねえと、かわいそうだって思ったから」

笑って自分の居場所はあそこじゃないと言った男を

兄の支配下に置かれていた人間が考えに賛同してると言った女を

『あぁ…そうか…お前ら、私の本名は知らないけど顔は覚えてるんだったな』

死柄木の前ですら顔を出していなかった。あの時、でも確かに聞き覚えがある
トガちゃんが友達になりたいと言ってた
死柄木が引き入れると言ってた

『どうも初めまして、分倍河原。私の名前は夜神月青子。お前たち敵連合を潰す、ヒーローだ』

「誰かが信じてあげねえとかわいそうだって」

『あぁ、そうだね。ありがとう』

無機質な言葉に分倍河原はゾッとする
お礼を述べる声色じゃない。初めて会った時のあの可愛らしい兄の隣を歩く妹のような声ではない

『お前は運が悪かっただけだよ。罪を償ってやり直せばいい。やり直せるようにホークスも手伝う』

「あなたは良い人だから」

「うるせえ。これがヒーローか？」