君と一緒に海へ3 (ページ22)

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「おれの病気、治してくれたじゃん!!! おれのヒーローだよ!!」

『……………………』

タンポポくんの、ヒーロー

『そっか…』

私は少しだけ、救われた気がした

サボside

“私は、誰かのヒーローに…なれるかな”

ティラが何を思って、どうしてそんなことを言ったのかわからない

でもおれは、ただならぬことがあると思う

でも、聞いてはいけない気がした

「タンポポも元気になってよかったな」

「うん」

「タンポポは体が弱いから、たまに病気になるって言ってたけど、あんなに酷いとは思わなかった…」

『そうだねェ』

帰り道、ティラは驚くほどいつもの笑顔を見せなかった

「ティラ、どうしたんだ？」

『…え？』

「ボーッとしてるぞ？」

『そうかな？ちょっと疲れちゃって』

「なら、早く帰ろう!!」

ティラの手を引いて走っていくルフィに、ティラは慌てながらルフィの後をついていく

そんなルフィにあきれながらも、「こけるなよォ」と声をかけるエース

おれは、不思議に思いながらも後を追いかけた

翌日になると、ティラはなぜか元気がなかった

それも、日が落ちる時間になればなるほどだった

「ティラ、この時間にどこ行くんだい？」

『ちょっと風にあたりに』

外に出て行くティラを見ながら、おれは気にせずに見送った

「あれ、ティラは？」

「夜風にあたりに行った」

「こんな時間にか？」

「あァ」

ティラside

『…夜風が冷たいなァ』

そよそよとそよぐ冷たい風に髪の毛が揺れる

金色の髪の毛を抑えながら、夜空を見上げれば無数の星が煌めいていた

『プラネタリウムとか、作れたのになァ』

星を見上げながらクスクスと笑い、今日までのことを思い出す

サボくんとエースくんと仲良くなれて、ルフィに出会って、シャンクスさんに会って

タンポポくんとシスラくんに会って、私は人に恵まれた

「ティラ～、冷えるからそろそろ入んな」

『はァい!!!』

呼びに来たダダンさんの横から、3人が顔を出した

「ティラ、りんご食うから早く!!」

「甘いぞ！」

「ルフィに全部食われるぞ」

『今行く!!』