ヒーロー科と結界師3 (ページ10)

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「お前も食うか？」

「それがしはそんなもん食わん!!」

「そんなもんって言うなよ。お前の主人、喜んで食ってるぞ？」

指を長くし、ドーナツの穴に刺して行くウロ様は何がいいのか嬉しそうだ

「おーーー、すっかり食ったな」

『あんなにあったのに、空っぽだ』

空になった皿を片付け出す良守に、ウロ様は「ここに昔、」と言い出した

「黒くて深い深い森があった…」

もしかして、さっきの良守の烏森についての質問に答えてるの？

「わしはその真ん中におった…
暗くて静かで穏やかな場所…そこへ、ある時人間がやってきた…」

“ここを譲ってはいただけませんか？
この土地の力が是非とも必要なのです”

「わしは嫌だと言うたが、その人間がもっと良い場所を作ってくれたので、真ん中を譲った…
森…なつかしいのぅ…」

「ちょっと待て、烏森って殿様のことじゃないのか!?
その「森」ってなんだ!?」

「むーーーー…」

「オイ!!」

『寝てる…』

「ウロ様はお疲れじゃ、ひかえろ小童!!」

ウロ様はそのままにして、寝かせておくことになった

どう言うことなんだろう

かつてここにあった黒くて深い森…それが烏森だと言うのだろうか

いや、ウロ様がそう断言していた訳じゃないからな

でもここに森があったって言うのは本当だよね

でも話に出てきた「人間」…

ウロ様の寝床を直すのが家のしきたりになっているあたりから、普通に考えてうちか雪村の先祖
もしくは

開祖・間時守

だとしたら結界師(この仕事)の発端、妖を寄せ付けて困っていた烏森の殿様に妖怪退治の専門家として間時守が呼ばれたと言う伝承は…確実におかしい

いや、烏森家が元々は他の土地にいたと考えればおかしくない？

“この土地の力が必要なのです…”

なんで必要なんだ？

ていうか、土地の力って何？

でも多分…私や良守が今まで聞いてきた話には色々と嘘が含まれてるはず

「守香」

『……え？』

「え、じゃねぇよ。大丈夫か？」

『あ、あぁ、平気だよ』

「良守！守香！」

時音ちゃんが駆け寄ってきた

「ウロ様ってもしかして今、あんたらんとこ来てる？」

「え？ああ、知ってんのか？」