ヒーロー科と結界師2 (ページ49)

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結局百ちゃんとは何も話さずに観客席に戻った

「次、ある意味もっとも不穏な組ね」

「ウチ、なんか見たくないなー」

一回戦最後の戦い

『………………………まぁ、勝負は見えてるけどね』

結果はわかってるし、見なくてもいい

「守香ちゃん、起きてってば!!!」

『…ふがっ』

「1回戦全部終わったわ」

『え…終わったの？』

「終わったわ」

『そっか…』

「次は緑谷ちゃんと轟ちゃんの試合よ」

『ん？ということは、次の次か…』

「この試合を見てから控え室に行けばいいと思うわ」

『うん。ありがとう、蛙吸さん』

「梅雨ちゃんと呼んで」

勝てるの…？出久くん

轟くんは辛い過去を持っている

母親にそんなことをされたら、誰だって元凶を恨むだろう

(唯一、自分の味方だった母親からそんなことされたら…いやだよね…)

轟くんの過去は、彼の口から聞かなければいけない

兄貴がどうやって調べたのか知らないけど、それでも当事者の彼から聞かなければいけないと思う

けど、彼がそのしがらみに囚われているというのはわかる

彼の心は冷え切っているはずで、その冷え切った心を壊してくれるのが

《緑谷VS轟!!》

出久くんだ

試合は始まり、出久くんは自分の指を壊しながら、轟くんの氷を破壊していく

「みんな…本気でやってる
勝って…目標に近づくために…っ、1番になるために！
半分(・・)の力で勝つ!?
まだは僕はキミに傷一つつけられちゃいないぞ！
全力でかかってこい!!」

壊れた指を握りながらそう叫ぶ出久くん

キミは、ひたむきにヒーローになろうとしている

“無個性”だったキミは、もう違う

立派なヒーロー志望なのだと、痛感させられる

「期待に応えたいんだ…！
笑って応えられるような…カッコいい人に……なりたいんだ

だから、全力で！やってんだ、みんな！
キミの境遇もキミの決心も、僕なんかに計り知れもんじゃない…でも、全力も出さないで1番になって完全否定なんて、ふざけんなって今は思ってる！

だから、僕が勝つ！キミを超えてっ!!」

どんなに、折れようともキミは立ち上がっていた

「キミの！力じゃないか!!」