ヒーロー科と結界師2 (ページ30)

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15話兄と妹と弟ページ30

『え、あのパティシエの人成仏したの？』

「あぁ…」

学校に登校する時に、良守からそう聞いた

まぁ、事情はよくわからないけど、大量のちくわとかまぼこが家に送られたのと同じなのだろうか

『あ、そうだ』

「？」

『今日は先に行くね!!』

「あ、おい!!」

おじいちゃんにお願いして、蔵の鍵を開けてもらって指南書貸してもらったんだった

どうせ良守もあとで読みたがるんだし、今のうちに読んどかないと

『あいつが何をしでかすかわからない』

教室に入り、鞄を置いてすぐに巻物を開けた

「守香ちゃん、それ何？」

『あぁ、出久くん』

「おはよう。それなんなの？」

『あぁ。指南書って言ってさ、うちの家系の先祖伝来の書物なんだってさ
しかも、正統継承者だけが読めるやつ』

「え、読めるの!!?」

『まるでわからん』

「わからないの!!?」

コトンッと机の上に置く

出久くんがなぜか興味ありげな顔で覗き込んでくる

『読んでみる？』

「え？」

『意外と大したこと書いてないしさ。半分以上わかんないし
なんか、訳わからん心構えみたいなのだけだし
なんとなくわかるのは、心を静かに柔らかく深く保つべし、ぐらいかな』

唯一なんとか読めたやつ

『これも、「深く」って言うのがわかんないけど
あと、心に形を与えろとか…』

「ねぇ、それって正統継承者しか見ちゃいけないものなんだよね？
僕なんか無関係だし、読んでも」

『気にすることないよ。出久くんだって、立派な力持ってるじゃん』

「うわっ！」

ひょっと巻物を渡すと、慌ててキャッチする出久くん

「でも、僕は霊とかが見えるだけで…」

『大丈夫大丈夫。そんなの気にすることないよ
私だって、小さい頃からずっと見てるし、利守ぐらいの頃に仕事できるようになったんだ
出久くんだって、大丈夫だよ』

と、出久くんは巻物を机に置いた

『出久くん？』

「僕には、守香ちゃんみたいな才能、ないし
それに、僕はこの力…まだ怖いよ」

そう言って自分の席に戻る出久くん

(な、なんか気の触ること言ったかな…)