ヒーロー科と結界師2 (ページ28)

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しばらくすると、「逃しちゃったじゃない！」と言う大きな声が

『様子見てきますね』

台所へと向かえば、時音ちゃんが怒っている

「あんなの、うちのお母さんならスリッパ一つで3秒以内に仕留めてるよ!?」

(お前のせいだっつーの…)

「しかも結界使うなんて…あんなものの破片が家に散らばるじゃない…!!」

「おい、ちょっと待て。おばさんだっていつもスリッパで潰してんだろ？」

「お母さんはプロよ。常に中身がはみ出さない程度の絶妙な力加減で…殺るのよ…」

お、恐ろしい…

「いいから早く仕留めて！5分…いや、10秒以内よ!!」

「お前、勝手すぎるぞ！」

「………………。ごめん、でもあれだけは本当に…ダメなんだもん…」

そう言って腕を抱きしめる時音ちゃんに、『苦戦ね』と声をかける

「守香」

『そんな2人に、ちょっと提案ね』

家を出て、うちのいらない新聞紙を持ってくる

「新聞紙をどうするの？」

「あぁ、あれか」

『そ。アレ、この辺りに敷き詰めるの
最近、良守と気付いたんだけどね。結界って、地面とか空中に位置してするとどうにもできないけど…例えば、「紙の上」って位置指定すると…ホラ、動かせる』

ピラッと動かしてみれば、紙に引っ付いてる結界

「あぁ…座標指定じゃなくて条件指定を使うのね」

「え？いや、詳しいことはよく知らねーけど…でも、考えたら、この結界術って結構いい加減だよな
成形のタイミングなんかで、物を囲んだり持ち上げたりもできるし…」

「だから術に幅があるんでしょ」

「んまー、そーだろーけど…」

「あんたら…指南書とか呼んでないの？」

『え!? あの変な巻き物読めるの!?』

まだまだだってことか…もっと勉強しなきゃ…

「とにかくさ、これで捕まえたら、そのまま家の外持ってって、お前の見てないところで始末する
なら大丈夫だろ？」

「…うん」

『…とにかく、時音ちゃんは外に出る』

「え、なんで」

『耐えきれずに良守を押し飛ばして、邪魔されるとその黒いものがキラキラになるよ』

そう言うと、時音ちゃんは玄関の方へ走って行った