ヒーロー科と結界師2 (ページ3)

今日:23 hit、昨日:9 hit、合計:174,726 hit

9-3 ページ3

『は？私の親？』

「うん。守美子さん、帰って来てるの？」

『…………母さんは』

臨時休校も終わって朝に出久くんが、引子さんから話を聞いたらしい

『たまにしか帰ってこないよ』

「そっか…」

『…………………………』

「あ、あのさ」

『？』

「困ったことがあったら言ってね!! 僕、守香ちゃんの力になりたいから」

『………………ありがとう』

朝のホームルームは全部聞き流した

みんなが盛り上がる中、私はずっと自分の右手の包帯を見ていた

ー昼休みー

「あんなことはあったけど…何だかんだテンション上がるな、オイ!!」

「活躍して目立ちゃ、プロへのどでけぇ一歩を踏み出せる！」

ヤイヤイはしゃいでいるみんなの輪から逃げるようにして席を立つ

「守香ちゃん、一緒にご飯食べない？」

『あ、うん』

お弁当を持って出久くんと飯田くん、お茶子ちゃんと廊下に出た

「お金…!? お金欲しいからヒーローに!?」

「究極的に言えば。なんかごめんね、不純で…!!
飯田くんとか立派な動機なのに、超恥ずかしい」

「何故!? 生活のために目標を掲げることの何が立派じゃないんだ？」

「うん…。でも、意外だね…」

「ウチ、建設会社やってるんだけど…全っ然仕事なくってスカンピンなの。
こういうのあんま人に言わん方がいいんだけど…」

「建設……」

「麗日さんの“個性”なら、特許とればコストかかんないよね」

「でしょ!? それ昔父に言ったんだよ！でも…」

お茶子ちゃんは、親のためにと思って言ったけど、お父さんはお茶子ちゃんが夢を叶えてくれる方が嬉しいと

「私は絶対ヒーローになってお金稼いで、父ちゃん母ちゃんに楽させたげるんだ」

「では、墨村くんは？」

『…うちは…』

うちの家は特殊だしな

『うちの家は母さんいないし』

「え」

「な、亡くなられたのか？」

『あ、いや。ごめん、言葉足らずだった。正確には、放浪してるんだ』

「放浪…つまり、どこかへ行っているということかい？」

『まぁ、そんな感じ…。だから実質は家事とかそういうのは父さんが回しててくれて…お金の工面とかはたまに口座に振り込まれるお金でやりくりしてて…』