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鉄塔広場に来た豪炎寺は、ベンチに座り隣に促すようにポンポン、と叩いた
「どうしたんだ、帝国には風丸がいるから戦うのが楽しみなんじゃなかったのか？」
濁さず、まっすぐな気持ちで聞く
『…あぁ』
「何かあったのか？」
『…風丸が、影山に従順になっていたんだ』
「影山に…？」
『…(ｺｸﾘ』
「…」
『…刑期が短くなって出てきたらしい』
「…どうして」
『アレスの何かに加わったらしい』
「アレス…？」
『…それがなんなのか、調べてみなければいけない
けど…』
「今は風丸が気になる…」
『あぁ…』
雷門の町を見下ろす景色に海風は、目を閉じた
『アイツが理由もなく影山に従うわけない
そう思っていても、どうしても信じられないんだ…
私や、鬼道に円堂、豪炎寺が苦しめられたのに…どうして…』
「…風丸が考えたことで、アイツが決めたことなら俺は何も言わない」
『豪炎寺…』
「だが、もしも影山に操られるのなら…お前が気づかせてやれ」
『私が？』
「お前は円堂と似ている。お前なら、大切なことを思い出させてやれるはずだ」
『…私は、円堂じゃない』
「わかっている」
『円堂のように、ちゃんと人を見るのはできないんだ』
「できるさ」
『！』
豪炎寺はトン、と自分の胸に手を当てた
「お前には心がある。円堂と同じ、仲間を想う心が」
『仲間を、想う』
「大切な仲間に、お前はいつも声をかけている」
『…』
「俺に鬼道、円堂たち…サッカー部が何かに迷えばお前はすぐに言ってくれた
お前は俺たちのために何かをしてくれるじゃないか」
『でも、私は』
「風丸が道を間違えたなら、それを正してやるのが仲間だろう？」
豪炎寺の言葉は、海風の中にストンと入った
『…そうだな。私は私、風丸は風丸の道がある
だが、アイツが何かをしでかす前に私が止めなければならない
それが、仲間だから』
「あぁ(ｺｸﾘ」
『ありがとう、豪炎寺。迷いが晴れた』
「いや、俺はお前の話を聞いただけだ
吹っ切れたのはお前の力だ」
『…ありがとう』
帽子を被り直すと、海風はベンチから立ち上がる
『帝国戦、勝ってみせる』
「あぁ、影山に勝とう。フィールドにいなくても、ベンチにいなくても、チームにいなくても、俺はお前の仲間だ
お前の心の中で共に戦っている。それだけは忘れるな」
『あぁ!!』
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2019年9月18日 0時
