17話 正統派の特訓 ページ43
野坂と別れた海風は、ある場所へ来ていた
『帝国学園…』
実に1年ぶりという帝国学園
海風は、帝国学園の中に入ると真っ直ぐにサッカー部会議室へと向かった
「あんた、誰？」
『！』
廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた海風はピタリと足を止めた
「転校生にしちゃ、おかしいな」
『……』
「だんまりかよ」
クハッと笑うのは、独特な髪型に鋭い目つきを持った少年
『君が、不動明王君だね？』
「あ？」
『君なら、私のことを知っているだろう』
「……？」
と、帽子のつばを少しずらし顔を見せれば不動は目を見開いた
「絶対的勝利の女神…!?」
『初めまして、不動。私は海風亜真音、雷門の強化委員だ』
「…なんで、お前がここに」
『少し、帝国イレブンが気になってな…。それより、今からサッカー部に行くなら一緒に行かないか？』
「はぁ？なんで俺があんたと一緒に」
『別々に行けば、面倒だろう？
それに、もし君が遅れたりした時に面倒な説明は私が引き受ける』
「…、それならいいぜ」
ニヤリと微笑む不動は「こっちだ」と歩く
静かに廊下を歩き、サッカー部会議室の前に着いた
「ここだ」
『案内してくれて助かったよ』
「ふん」
不動はすぐに中に入った
海風もその後を追った
「遅いぞ、不動」
右目に眼帯を当てた少年、佐久間の声が響いた
「はぁ？俺は客人を案内してたんだぜ？」
「客人？」
『やぁ』
「！」
「海風!?」
「なんで雷門のお前が!?」
『選手のサポートケアも私の仕事でな…。心配するな、敵情視察ではない』
「…そうか。だが、久しぶりだな」
『あぁ、お前たちとは次の試合で当たるからな…。
その時はよろしく頼む』
「あぁ、負けないからな」
佐久間とそんな会話を済ませていると、会議室の灯りが消えた
ステージ脇から緑色がかったポニーテールが現れた
サッカー強化委員として帝国に派遣された、元・雷門のディフェンダー風丸一郎太だ
(風丸…)
比較的暗い場所に立っていた海風の存在は、風丸から見えなかった
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2019年9月18日 0時
