雷門の女神2 (ページ38)

今日:8 hit、昨日:11 hit、合計:44,294 hit

16-2 ページ38

『なんだ、これは？』

そこには、口ではとても言えない言葉が並べられており海風は興味本位でクリックしてみると、成人男性なら泣いて喜ぶ画像が山ほど出てきた

『………………』

静かだった部屋の温度が、何度か下がった気がした

海風は、そこで閃いた

監督のパソコンを経由して何かしていたとバレたら、どんな面倒なことをされるのかわからない

ならば、と海風はカタカタとキーボードを叩いた

新規ファイルに、ムフフな画像を集めそのファイルにウィルスをかけた

あの監督のことだから、こんなあけすけな罠に簡単に引っかかってくれるだろと考えた

そして、海風はそのウィルスをかけたファイルをパソコンに残しておいた

もちろん、クリックすればパソコンが乗っ取られ、国の機密情報にアクセスするように…

この一連の流れを1人で思い出している海風に、「コォォオーーー！」と、趙監督の声で我に返る

「監督、スパイじゃなかったんですね」

つくしは気を取り直している

その隣で杏奈は、海風に「むしろスパイであって欲しかった気がしますね」と同意の意見を求めていた

海風は、どうにも言えず『そうだな』と小さく漏らした

「じゃあはいっ！気を取り直して！」

パンッ、と趙監督が手を叩く

『あんたが気を取り直してどうするんだよ』

海風の言葉に、「はい！」とつくしが被せた

「次の試合はAブロック予選第4試合!!
相手はあの帝国学園です！」

『(ﾋﾟｸｯ』

モニタースクリーンに帝国学園のエンブレムが映し出された

部室は一気に緊迫した

海風は、なぜか真っ赤な瞳を鋭くモニターに向けていた

かつての絶対王者、帝国学園

1年前のフットボールフロンティア予選で雷門に敗れるまで無敗記録は実に40年間にも及んだ

少年サッカー史に名を残した帝国学園は、総帥であり監督である影山零治の統治下にあった

影山は、目的のためには手段を選ばない人物だった

無敗記録も彼の陰謀が裏で関わっていた

その手口とは、対戦相手の選手バスに細工を仕掛けて事故を起こしたり、木戸川清修のエース豪炎寺の妹・夕香と海風を交通事故に遭わせて重体にさせたりなど、極めて非道で許しがたいものだった