雷門の女神2 (ページ34)

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「言葉足らずは、直さなくちゃね」

『…今更ですよ。自分のやり方に、筋を通すのが人間ですから』

帽子のつばを掴み、のりかを見つめる

『タイヤ特訓はいいですね』

「……」

『懐かしい思い出を、次々と呼び起こしてくれます』

目を閉じれば、自分のキャプテンや、チームメイトたちが思い浮かぶ

彼らの意思を、海風は継いでいる

『私は、雷門をまた日本一にしたい
そのためには、彼らに強くなってもらうしかない
だから、私は憎まれ役になったって構わないんです』

日本一を目指すから、彼女はなびかない

御影専農の下鶴は、のりかの目の前に迫っていた

下鶴が大きくジャンプし、空中でオーバーヘッドキックを打つと、ボールが発火した

「パトリオットシュート!!」

ミサイルのようなボールがのりかを襲う

のりかは構えた

顔の前で閉じた両腕を、円を描くように開く

すると、空間に大きな渦が発生した

のりかは、ボールを迎え撃つように右手を渦の中に突っ込んだ

「ウズマキ・ザ・ハンド!!」

渦は前方に伸び、巨大な腕になってシュートの威力を吸収した

そして、水が一気に弾ける

ボールはのりかの手に収まっていた

「っしゃー！」

と、前線で見守る明日人が喜んだ

のりかは素早くスローイング

「肉を切らせて」

「一刀両断!!」

『この作戦に関して、あまり賛同はしないんだが』

作戦だから仕方ないか、と割り切った海風

のりかからのスローイングを受けた万作は、プログラミングされた御影専農の守備ブロックを迂回するルートがはっきり見えた

万作から海風へ、岩戸、道成、奥入、剛陣と、流れるようにバスがつながる

そして、ボールは最前線へ

「明日人！」

「っし！」

小僧丸から明日人へとパスが渡った

「のりかが止めたんだ、俺だって!!」

「行かせるか!!」

御影専農は室伏、花岡の2枚ブロックで明日人と正面衝突する

そのはずみで、ボールが高く浮いた

「もらった！」

『風神!!』

浮かび上がったボールを、下へと戻した海風は、『稲森、走れ!!』と指示を出した