雷門の女神2 (ページ4)

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『稲森、すまないが急ぐことになってしまった
くれぐれも気をつけてお使い、達成してくれ!!』

「あ、はい！」

クマのぬいぐるみを見ながら、どうしたものかと考えていたが時間が押しているので仕方なく、海風はクマのぬいぐるみを抱えてゲームセンターを慌てて出た

海風が先に出た灰崎を追い越した

「？」

横断歩道を走って渡り、どこかへ向かって行ってしまう海風に灰崎は「なんだアイツ」とこぼした

海風が慌てて向かったのは、私立総合病院だった

『あの、海風ですけど』

「診察ですか？」

『あ、はい』

クマのぬいぐるみを持っていると、看護師さんからクスッと笑われる始末

恥ずかしさに頬を染めた海風は、帽子を目深くかぶり直しながら、早く終わることを願った

「担当医がすぐに来るので、診察室前でお待ちください」

『あ、はい』

海風はそそくさとクマのぬいぐるみを持っているのを見られないように、急いで診察室の方へ向かった

その時、丁度病院に入ってきた灰崎が、「海風？」とこぼした

彼はそのまま海風の後をつけた

診察室前でクマのぬいぐるみを後ろに持って見えないようにしていると、「お待たせ」と担当医が来た

「あれ、可愛らしいぬいぐるみだね」

『いりますか？』

「いや、君に似合ってるよ」

『……』

診察室のドアを開けた担当医は、ハハハッと笑いながら中に入る

海風も、その後を追う

「……診察室？」

灰崎は中の会話を聞くために、静かに耳を傾けた

「うん。両膝とも全快のようだね」

『そうですか』

「無理のない程度にと言っているの、ちゃんと守れてるみたいだね」

『まぁ、プレイスタイルがプレイスタイルですから』

「うん。完治してるから、もう大丈夫だよ」

『ありがとうございます』

(完治？
病気だったのか？いや、だとしても鬼道は何も…)

「病院をこっちにしてよかったのかい？
向こうの方でもよかったんじゃ」

『いや、向こうだと心配させてしまうのでこちらでよかったんです』

「そうか…。一応、豪炎寺先生にも伝えておくからね」

『お願いします』

(豪炎寺…？)

会話を聞き終えた灰崎は、診察室前の椅子に座って海風が出るのを待った