雷門の女神2 (ページ28)

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刑事たちは手際よく、あっという間に趙監督の身柄を確保した

「どう言うことですかな？」

両脇を抱えられながらも、趙監督が抵抗する

だが、激しくうろたえることはなく、表情にはうっすら余裕さえ見えた

「監督！」

「何かの間違いです。すぐ戻りますよ」

(戻って来なければいいのに…)

趙監督の言葉に、海風が心の中で毒を吐いた

一同が呆然と立ち尽くす中、服部が言った

「新しい試練、自分に訪れちゃってるーっ！」

『監督は自分のパソコンから、国の機密情報に不正アクセスしてたみたいなんだよ…』

呆れを通り越し、怒りも通り越した海風はもう、笑うしかなかった

「そんなことしてたの？」

杏奈は信じられないと言った面持ちだった

「つまりはスパイですね。監督をしながらいろいろ探ってたんですよ」

奥入はため息交じりで言った

つくしが時計を見た

「もうすぐキックオフです。監督は戻れそうにないですね…」

『そりゃ、国の機密情報に不正アクセスしたら、なかなか出て来ないだろ』

雷門イレブンは、選手入場ゲートに向かっていた

「監督がいないなら、俺たちだけでしっかりやるしかない」

キャプテンの道成がイレブンに声をかける

「うん！」

と、明日人が頷くが、「でもどうすればいいんだろう…」と日和が言う

その時、全員のイレブンバンドが同時に鳴った

『監督から？』

「捕まっちゃった。てへっ」

「てへって場合か？」

『というか、これはどこから…』

海風の言葉に答えるように、また画面に文字が現れる

「今回は牢屋から指示します。イェーイ」

「マジかよ!?」

「顔文字読まなくていいんですけど」

「あ、そう？」

『あの監督、何かを考えてるんだ』

文字を見て、イライラを募らせる海風にメッセージが届いた

「今回は海風さんに主導権を渡します。ブイ」

『…………牢屋から出て来れなくなればいいのに…』

「海風さん、それ完全にアウトです」

メラメラと燃え上がる海風に、杏奈がそう言った