雷門の女神2 (ページ22)

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「ぼさっとすんな！
9番が狙ってるのわかんねえのかよ!!」

水神矢がハッと気づく

しかし、振り向いた先では武方勝がシュート体勢に入ろうとしていた

水神矢は飛んだ

「ゾーン・オブ・ペンタグラム!!」

水神矢の体から球状のオーラが湧き、武方勝をすっぽりと包んだ

勝は強引にシュートを打ち抜いたが、枠を外れた

一旦プレイが途切れた

灰崎は渋々と認めた

「これでいいんだろ」

「ようやく気づいたか」

目の前に鬼道が立っていた

『久遠監督、選手交代を』

海風が静かに告げると、久遠は選手交代を要求した

ミッドフィルダー魚島が退き、ディフェンダー古都野がピッチへ

玉突きでポジションも移動する

ディフェンダーの天野がゴールキーパー、そして灰崎がフォワードに移った

ベンチでは、天野がゴールキーパー用の、灰崎がフィールドプレイヤー用のユニフォームに着替えた

海風が自身のイレブンバンドを灰崎に見せた

『残り10分だ。2点差を埋めれるといいな』

そんな海風のとなりに、鬼道が近づいてくる

「ここからひっくり返すぞ。やれるな？」

「あぁ、受けて立ってやるよ」

『(ﾌｯ…』

海風はフィールドへ向かっていく灰崎の背中を見て、ピッチ全体を見つめる

(キーパーの位置からは、味方と敵の動きが手に取るようにわかる
守りの立場から敵の連続攻撃パターンを見れば、前線において有効な攻撃ルートがどこにあるかも自ずと見えてくる

ゴールという目標の下で、11人が１つの生き物のように繋がり合う
それが、「連携」ということだ)

海風は前線のポジションについた灰崎を見る

「鬼道、お前はあの光景を見せるために、俺をキーパーにしたんだな？」

「そうだ。シュートの打ち合いを豪炎寺とやったとしても、チーム連携で攻めてくる木戸川清修には勝てない」

天野のゴールキックで試合が再開された

鬼道がボールを収め、ドリブルで運ぶ

並んで走る灰崎に言う

「やつらを討つには、お前が真のエースストライカーとして機能する必要があった」

「なんだと？」