雷門の女神2 (ページ16)

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13話炎のエースストライカーページ16

「ここまで仕上げてくるとはな」

鬼道がうなる

『折緒へのパスは、「出した」というより「出すしかなかった」が正しいな…
あらかじめ、他のパスコースを全て切って、折緒にしか出せないように仕向けていた…』

ベンチに座ることなく、ずっとタッチラインの脇でフィールドを見つめている海風は、豪炎寺の姿を捉える

「武方三兄弟だけでなく、チーム全体の意思疎通が行き届いている
完全なるチームサッカーだ」

「そうだ。かつて天才ゲームメーカーと言われた鬼道有人に、これが破れるかな」

攻守が入れ替わり、ボールは豪炎寺の元へ

すでに三兄弟も走り出していた

「行くぞ！今こそ木戸川清修の真のチーム力を見せる時だ!!」

豪炎寺と武方三兄弟がテンポよくパスをつなぐ

ボールは、人の手を交わす魚のようにピッチを泳ぎ、星章学園ゴールに迫った

相手守備を切り裂きながら、豪炎寺は過去に想いを馳せた

「そうだ…、俺たちは初めから１つのチームだったわけじゃない…」

『豪炎寺…』

豪炎寺は1年生の時から木戸川清修のエースストライカーだった

海風は、雷門のサッカー部に入っていたが、部員が8人ぼっちということもあって練習という練習はできなかった

豪炎寺はある時、サッカーとの決別を誓い、雷門へ転校した

ところが、のちに伝説のキャプテンと呼ばれる円堂守に出会い、彼は再びサッカーに目覚めた

そして今、サッカー強化委員として木戸川清修に戻ってプレーしている

豪炎寺が戻ってきたその日、チームメイトから歓迎を受けた一方、武方三兄弟からは嫉妬まじりの挑発を受けた

「まさかうちに戻ってくるとは」

「でも、俺たちは負けねーし」

「木戸川のエースは武方三兄弟、みたいな？」

初日の練習中、豪炎寺は三兄弟から挑戦状を叩きつけられた

そんな豪炎寺を見守るように、木の陰から様子を伺う者もいた

「僕たちとあなた」

「木戸川のエースはどっちか」

「曖昧にしとくのもなんだから、ここでしっかり決めようじゃん？」

3人「勝負だ、豪炎寺!!」

三兄弟がポーズを揃えて見得を切る

「いいだろう。3対3のミニゲームでどうだ？」

「3人とは俺たちに好都合。みたいな？」

「しかし、俺が勝てば話は聞いてもらうぞ」

「ふふっ。勝てればな、みたいな？」