雷門の女神2 (ページ13)

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12話小手調べページ13

両チームのスポンサーの紹介が終わると、両チームの選手たちがフィールドへと駆け出し、ウォーミングアップを始めた

タッチラインの脇では、元・雷門のレジェンドプレイヤーが敵味方に別れて再会した

「そっちはかなり仕上げてきたようだな」

鬼道がクールに話しかける

「相手はお前だからな。こちらも真剣だ」

と、豪炎寺が返す

「そっちの問題は未解決のようだが」

「手は打った。あとはこのチームの力次第だ」

「では見せてもらうとしよう
「ピッチの絶対指導者」とやらのお手並みを」

鬼道と豪炎寺

短い会話を交わした2人は、ピッチに入りセンターラインを挟んでお互いに背を向けた

「海風さん」

『ん？』

「海風さんは、観客席じゃなくてよかったんですか？」

後輩の音無がそう聞くと、『ここから見たいんだよ』と音無の頭を撫でた

『2人の対決を、間近で見れるのは私だけだからな』

「そうですね」

やや遅れて、灰崎も不満そうにフィールドに足を踏み入れた

1人だけ違う色のユニフォームを着て、両手にはキーパーグローブをはめて

(さすがに、これは理解に苦しむ
久遠監督は才能のある戦術監督だ、考えもなしにあんなことをするとも思えない

だが、やり方はともかく監督の意図はだいたいわかる…
しかし、当の本人である灰崎自身が理解していなければこの試合は星章は負けてしまう…

鬼道、お前はそれが狙いなのだろう)

フィールドにいる鬼道を見つめながら、海風は久遠監督の元へ向かう

『久遠監督』

「…海風か」

『今回の作戦に関してですが』

「意見は聞かんぞ」

『いえ、見事だと言えるでしょう
今回のこの試合で、彼が理解してくれればの話ですが』

「…だから、お前がいる」

『？』

「鬼道は、お前がいるからこそという場面が多々あると言っていた
お前がどう動くのかは知らんが、ほどほどにしろ
本人が気づけるヒントを与えてくれ」

『…面倒な役を回させたな、鬼道め…』

心底面倒な海風は、帽子を被り直すとパーカーのポケットに手を入れた

『わかりました、その役目請け負います。
ですが、どんな結果になっても私は謝りません』

「構わん」