雷門の女神2 (ページ12)

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メンバー全員が驚きの声を挙げた

流石の海風も、目を見開いて驚いた

ゴールキーパーのポジションには、なぜか灰崎の名があった

「鬼道！これは何の冗談だ？」

灰崎が椅子を跳ね飛ばして立ち上がった

「俺は冗談など言わない」

「灰崎君、これも作戦なの。鬼道さんを信じて」

(お、音無…)

マネージャーの音無が、ゴールキーパー用のユニフォームを灰崎にぐいっと差し出した

「いいか、鬼道。俺はあんたのファンタジーに付き合っている暇はねぇんだ」

「これは灰崎でなくても、異議を唱えたくなりますよ
どういうことか説明してください」

キャプテンの水神谷も、たまらず鬼道に意見した

鬼道は海風をチラリと見る

ほんの一瞬の間、それだけで海風は彼が言いたいことが理解できた

『今回の試合には豪炎寺が出てくる。本気を出さなければお前たち星章は完全に負ける』

星章学園が本気を出すことと、示されたフォーメーションに、一体どういう関係があるというのか

海風の説明に納得できる者はいなかった

「今回の件は監督も了承済みだ。不満があるなら、監督に直談判でもするんだな」

「鬼道、貴様……」

灰崎が、きつく奥歯を噛んだ

「海風さん」

『？』

「鬼道さんのやりたいこと、あなたはわかるんですか？」

水神谷と白鳥が海風にそう聞くと、海風は準備を進める鬼道を見つめた

『残念ながら、今の私でも鬼道が何を考えているのか現時点では分かりかねる』

「じゃあ…!!」

『だが、鬼道だからこそ何か考えがあるのかもしれない。
ピッチの絶対指導者であるアイツだ。きっと何か策があるはずだ』

2人にそう言った海風だが、内心は焦っていた

なぜ、灰崎をゴールキーパーにする必要があるのか

この試合に本気で勝ちたいのなら、こんな布陣にするわけがない

『鬼道、お前何を考えているんだ？』

「見ていればわかる…」

『おい』

「相手が相手なだけに、俺もおふざけではいられないということだ」

『だから、この布陣に……、！』

鬼道の肩を掴んだ時、鬼道は海風の耳元で何かを呟くと会議室を出た

『鬼道…』