雷門の女神2 (ページ32)

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「きゃあっ!!」

吹っ飛んだのりかが、ついに起き上がれなくなった

「私には…もう無理です」

そう弱音を吐いたのりかに、『そうか』と冷たい声を出す

『わかった、もうやめろ』

「…………えっ」

『私の見当違いだったようだ
無理なことを頼んで済まなかったな』

海風はそう冷たく言い放つと、タイヤの方へ歩いた

明日人は海風をにらんだ

『お前も、いつもありがとうな』

海風は、タイヤにパンパンと手を叩くと『またよろしくな』と呟いた

その晩、のりかは岩戸に背負われて木枯らし荘に帰った

「おやおや、どうやらきつめにしたようだね」

『………………』

「アンタのそう言う、差別のない眼差しと態度はいいけどいつかきっと、相手を壊しちゃうよ」

『………』

「憎まれるのは、慣れてないんだろう？」

食堂で水を飲んでいた海風は、シンクにコップを置き食堂を出ようとする

「！」

『稲森…』

「なんで、なんであんな特訓をさせるんですか!?
のりかが倒れたら、雷門のゴールは誰が守るんですか!?」

『………………』

稲森の声に、海風は『それがなんだ』と言う

『お前たちは甘く見ているのか？』

「？」

『お前たちが所属しているのは、雷門だ
フットボールフロンティアの優勝校、全国の学校が雷門を倒そうと必死に特訓に特訓を重ねているんだぞ』

「！」

『その相手に、こちらも特訓を重ねなければならないんだ
生半可で、中途半端な田舎者に雷門のゴールを任せれるほど私は甘くはないぞ』

冷たい言葉に、明日人は「海風さん…」と呟く

「こら！そんな憎まれ口を叩くんじゃないよ」

『…憎まれ役は慣れているんで』

海風はそう言った後、木枯らし荘の玄関に向かう

「ど、どこへ？」

道成が聞くと、『部室だ』と小さく答えた

『稲森』

「！」

『海腹に…すまなかったと…伝えておいてくれ』

そう言い残すと、海風は静かにドアを閉めた

「海風さん…」

明日人は出て行った海風の背中を、ずっと見ていた