雷門の女神2 (ページ30)

今日:3 hit、昨日:10 hit、合計:44,299 hit

15-4 ページ30

その時、またもイレブンバンドからメッセージが送られた

“今でしょ”

「今っ!?今何を……」

頭を越えようとするボールを見上げ、日和がハッとした

「わっ！わかりましたよ、あの謎の雑用の意味が！」

日和が言いつけられた雑用

それは、校舎中の床掃除だった

必死に雑巾がけをしていると、どう見ても怪しいお面を被った小男が、バケツで絵の具を盛大にぶち巻いて逃げていった

雑巾がけは果てしなく続いた

『こ、この絵の具の量は…』

「やってもキリがないんです…」

『…どやされるのは、私なんだが』

肩を落としながら、日和の雑用を見守る海風は頭が痛いという始末

日和はやがて、二枚の雑巾に顔を描き込んだ

いつしか日和はオリジナルの雑巾掛けテクを身につけていた

雑巾に素足手乗り、美しい円を描いて床を滑る

まるでフィギュアスケートだ

日和は落下点へ急いだ

「今こそ使う時！落ちろ、飛ぶ鳥！」

日和の足が円を描く

そして、体をスピン

なんと、竜巻が発生した

「シューティングカット!!」

竜巻が上空のボールを飲み込んだ

「やりましたっ！」

「俺より先に必殺技を!?」

「そこかよ！」

悔しがる剛陣に小僧丸が突っ込む

『日和、こっちだ!!』

「は、はい！」

ロングパスを胸でトラップし、ドリブルで敵陣を切り裂いていく

「海風!!」

『去年の予選以来だな、下鶴!!』

激しいボールの奪い合いに、両チームが近寄れない

「当たり前だが、強くなったな!!」

『そっちこそ！』

だが、上手だったのは

『もらった！』

「なっ…!?」

海風だ

海風は下鶴の股の下からボールを転がすと、一瞬にして下鶴を抜き去った

ゴールへと駆け上がっていく

『チェーン・インパクト!!』

海風の必殺技が、御影専農のゴールに突き刺さった

『よしっ！』

沸き立つ観客の声は、全て海風に向けられていた

「当たり前とはいえ、これまで強くなっているなんて…」

去年の戦いで、下鶴は雷門である海風に負けた

「だが、今度こそ」