現海賊は現在ヒーロー科12 (ページ8)

今日:33 hit、昨日:3 hit、合計:58,159 hit

90-7 ページ8

レンside

ダダンさんは先に家に戻ると言って行ってしまった

私は、そよそよとそよぐ風を感じながら、海を眺めた

海賊王に会ってみたかった

もうこの世にいないということは、お父さんから聞かされた話だった

なぜかお父さんは、海賊王の話をするときは笑ってた

聞き慣れた海賊には笑ってて、聞き慣れない海賊には怒ってた

でも、大半のほとんどの海賊の話はずっと笑ってた

お母さんも、幸せそうに笑ってた

それがどうしてなのかわからなかったけど、お母さんとお父さんは嬉しそうに笑って海賊の話をするから、私もつられて笑顔になった

エースくんが、ちゃんと話してくれるまで待とう

ーーーーー
ーーー
ー

『あ』

「！」

お風呂から上がったエースくんが、私を見てまたギロリと睨んだ

『あ、あの…』

「…なんだよ」

『えっと、その…』

「…何もないなら行くぞ」

『あ、待って!!』

まだ湿っているエースくんの髪から水滴がポタポタと落ちた

『か、髪の毛ちゃんと乾かさないと風邪ひいちゃう』

「別にいいだろ、おれの勝手だ」

『ダメだよ!!』

「(ﾋﾞｸｯ」

『風邪ひいたら外で遊べなくなるし、サボくんとも遊べなくなるんだよ!?』

「おれは風邪なんか引いたことねェよ!!! いらねェお節介焼いてんじゃねェよ!!!!」

バッ！と腕を振りほどかれ、私は『ごめん』と謝る

(余計なお節介、か…)

良かればと思って言った言葉は、エースくんにとって苛立たせるものになった

そんなこんなで、エースくんとまともに話すこともなく1ヶ月が過ぎた

『(ﾄﾞﾖｰﾝ』

「レン、キノコ生えてるぞ」

『仲良くなれない…』

「誰とだ？」

『エースくん……』

「エースかァ」

「おれたちもまともに喋らねェからな」

『そうなの？』

「ああ」

「人を寄せ付けねェ目つきだろ？おれたちは仲良くやりてェんだけどな」

『なんで人を拒み続けるのかな』

そんなの、辛くなるだけなのに

「なんなら、エースのこと見てきたらどうだ？」

『え？』

「人を知るにはまず行動からだ。明日1日、エースに引っ付いていってみろ」

『でも、エースくんに追いつけるか』

「大丈夫だ」