現海賊は現在ヒーロー科12 (ページ32)

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「レン、桃だよ」

『も、も…』

ゆっくりと起き上がろうとするが、レンはフラフラでまた倒れそうになるのを支える

「大丈夫か？」

『う…ん』

辛そうな表情に、おれは胸が痛くなる

「エース、食べさせてやりな」

ダダンに渡された桃を受け取り、フォークで桃を刺してレンの口元に運ぶ

「桃だぞ」

『う、ん…』

小さな口で桃を食べると、もぐもぐと小さく動かす

コクリッと飲み込めば、『美味しい』と頬を緩ませる

「まだあるから、たくさん食えよ」

レンの食べるスピードに合わせて桃を運べば、あっという間に皿の中は空っぽになった

「寝ちまったな」

「そうディすね」

桃を食べてる途中もコクリコクリトと首が上下に傾いてたから、寝るとは思ってたがこんなにすぐとは思わなかった

「とにかく、2、3日は寝かせて様子見だよ」

「はい」

「エースも、無茶すんじゃないよ」

ダダンに言われ、おれは無視してまた家を出る

「そっか、レンの奴まだ熱下がんねェのか」

「あぁ…」

「心配してるのか？」

「当たり前だろ」

「…………………。数ヶ月前のお前じゃ、考えられなかったな」

「は？」

サボは笑って言う

「前のお前は、女の子には強くあたってただろ？
弱いだの泣き虫だの」

「…………………………。あいつは…違う」

「？」

「……あいつは、笑ってることで強くいようとしてる」

「？」

「…あいつがどうして故郷を捨ててここに来たのか……」

「え、レンが言ったのか？」

「いや…ジジイが言ったんだ」

おれはサボに「聞くか？」と聞いたら、サボは首を横に振った

「おれは、レンの口からちゃんと聞きたいからな。
あいつになにがあったのか、あいつがどうして笑って強くいようと思っているのか…それを全部あいつの口から聞きたい」

「…………………そうか」

「…まァ、そんなに気を落とすなよ。レンなら2、3日すればまた元気になるさ!!」

「……あぁ…!!」

「よし、海賊貯金集めに行こうぜ」

「あぁ」

ー数日後ー

『あ、おはよう』

「…………………………え」

おれが見たのは、朝から台所で飯を作るレンの姿