現海賊は現在ヒーロー科12 (ページ31)

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「しばらくは起きれねェか…」

「そうディすね」

ドグラやマグラがつきっきりの看病

『はァ…はァ…』

息遣いも荒くて、しんどそうだと言うのが見て取れる

「レン…」

汗で張り付いた髪を退けて汗をぬぐってやれば、『エー、ス？』と小さな声が聞こえる

「大丈夫か？」

『う、ん…』

「なんか食いたいのとかあるか？」

『…桃…が、食べたい』

「桃？」

『う、ん…。いっ、つも、風邪引いたり、したら…お母さんが、食べさせて、くれ、てて…』

亡くなった母親か…

『ま、た…食べたい、なァ』

真っ青な顔で力なく笑うレンに、胸が張り裂けそうになる

「わかった、桃だな。持って来てやるから、ちゃんと治せ」

『う、ん…』

目を瞑り、また眠りに入るレン

おれは朝の早くから街へ出た

八百屋に真っ先に向かって、桃がないかを見て回る

「お、エー」

「しっ!!」

「ス？」

大声で叫ぼうとしたサボの口元を塞ぎ、おれは事の経緯を話した

「で、桃がいると」

「あぁ。この八百屋に桃なんてあるか？」

「いや…なさそうだけどな…」

「別の八百屋に行ってみるか…」

「だな」

街中の八百屋を見て回ると、桃が売ってあった

しかもあと一つってところだった

「どうする？」

「盗る」

「だよな」

忍び足で八百屋に向かって手を伸ばす

バレないように桃を盗ると、急いでその場を後にした

「っし」

「見舞いには、花がいるよな」

と、サボはそこら辺に咲いている花を摘んでおれに渡して来た

花を受け取り、おれは急いで家に帰る

「レン!!」

『エース…』

「ほら、桃だ。それから、サボが見舞いにって」

『お、花…』

小さな手でおれの手に触れる

『キレー…』

花を見て微笑むレンに、おれはダダンに桃を切ってもらうように頼んだ