現海賊は現在ヒーロー科 (ページ10)

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『ふむふむ、ここが折寺中学校』

テクテクと地図を見ながら歩いていると、ギーと乾いた音がしたのが聞こえた

近くには公園があり、悲しそうにする男の子がいた

『どうかした？』

「!!」

『あ、驚かせた？』

ブランコに座っていた男の子は、半分の赤と白の髪の毛に左側の目の当たりには包帯が巻かれていた

『大丈夫？』

「大丈夫…」

『そっか』

隣に空いているブランコに座って、ギーコギーコと漕ぎ出す

「キミ、誰？」

『私は海波レン。キミは？』

「とどろきしょうと」

『しょうとくん？』

「うん。レンちゃんは、なんでここにいるの？」

『散歩。しょうとくんは？』

「僕、家を飛び出してきた」

え

『キミ、何歳？』

「5歳」

(ですよねェ)

かつきくんやいずくくんと同じ年ぐらいにしか見えない

『その左目の包帯、どうしたの？』

私が聞けば、しょうとくんはパッと顔をそらした

『あ、ごめんね。言いたくないよね』

「ううん」

首を横に振ったしょうとくんは、ぽつりぽつりと呟いた

自分の“個性”はお父さんとお母さんの力を受け継いだ、「半冷半燃」という強い“個性”らしい

その“個性”が発現した後、お父さんから厳しい修行を課せられたらしい

道具としか思っていないお父さんに、耐えながらも厳しい修行を重ねたある日

トイレに起きたしょうとくんは、台所を通るとお母さんがいて、煮え湯を作っていた

自分のことを育てられないと言ったお母さんに、しょうとくんは声をかけると、いきなり煮え湯を浴びせられたらしい

お母さんはしょうとくんに危害を加えたということで、病院に入れられた

お父さんのせいで、お母さんが壊れた

そう思ったしょうとくんは、家を飛び出したと

「僕、もう嫌だよ」

『……』

しょうとくんの大きな瞳がこぼれ落ちる大粒の涙

私はブランコから飛び降りると、ポケットからハンカチを取り出し、大粒の涙を流すしょうとくんの頬に当てた

「レン、ちゃん？」

『キミの辛さは、私にはわからない。でも、キミはヒーローになりたいんだよね？』

「…………」

『だったら、キミのなりたいヒーローになればいいよ』

「僕の、なりたい？」