現海賊は現在ヒーロー科 (ページ40)

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「海波少女、キミ強いね」

『いやァ』

頭の後ろをかき、褒められることの嬉しさを噛み締めた

「お疲れさん!! 緑谷少年以外は大きな怪我もなし！

しかし真摯に取り組んだ!!

初めての訓練にしちゃ、みんな上出来だったぜ！」

相澤先生の後だから、なんか拍子抜けするよね

更衣室で服を着替えた後、教室に戻りコスチュームを直すと勝己くんが教室に戻ってきた

無言のまま教科書をカバンの中に詰め込む彼を、ちらりと見る

綺麗な顔が少しだけ落ち込んでいる様に見えた

『か……』

「あ！砂人間!!!」

教室に戻ってきたクラスのみんなに、取り囲まれる

「どうやってやったんだ!?」

「っていうか、炎も使ってたくね!!?」

「名前!! 名前教えてくれ!!!」

どうしようかな困りながらいると、勝己くんはスタスタと歩いて行ってしまう

『あ、勝己くん!!』

「先帰っとる」

『え、あ、ちょっと!!!』

もみくちゃにされる私は、『待って!!』と何とか抜け出しリュックを手に取る

『“個性”のことはまた今度!! じゃあね!!』

廊下を歩いていく勝己くんを追いかけ、何とか一緒に帰る

靴を履き替えるのにもたついていると、バッグを持ってくれた

『ごめんね』

「……」

黙ってリュックを渡してくる勝己くん

「かっちゃん!!! レンちゃん!!!」

『出久くん？』

「ああ？」

ギロリと赤い瞳が出久くんをにらんだ

「これだけは、キミには言わなきゃいけないと思って…！」

え、なに？

「人から授かった“個性”なんだ」

『え……』

人から、授かった……？

「誰からかは絶対言えない！言わない…でも、コミックみたいな話だけど本当で…！」

「……!?」

『……』

「おまけにまだろくに扱えもしなくて……。
全然モノに出来てない状態の“借り物”で……！

だから…使わずキミに勝とうとした！
けど、結局勝てなくて、ソレに頼った！

僕はまだまだで…!! だから

いつかちゃんと自分のモノにして、“僕の力”でキミを超えるよ」

出久くんの瞳を見て、なぜか懐かしく思い微笑んでしまった

「何だそりゃ…？借りモノ…？
訳わかんねぇこと言って…これ以上コケにしてどうするつもりだ。……なあ？

だからなんだ!?」