現海賊は現在ヒーロー科 (ページ23)

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ここまで書き留めたノートを、私はあまり見たことがない

そりゃあ、ナミやチョッパーがノートによくメモを取ったり、サンジが料理のことでメモを取る量に比べたらまだまだかもしれないけど

夢のためにこんなに頑張って書き留める人は、見たことがない

『マメに取ってるね…。私、出久くんのノート好きだよ』

「ありがとう…」

ノートを返せば、大きな緑色の瞳が潤んだ

『え、なんか嫌なこと言った!? ごめん!!!』

「あ、ち、違うんだ…。あのね」

出久くんの口から出た言葉は、信じ難いことばかりだった

勝己くんは出久くんの命を軽視するような発言をした

そして、出久くんの憧れの存在である平和の象徴オールマイトに無個性でもヒーローになれるかと聞いた

だが、彼は出久くんに現実を見せた

相応に現実も見なくてはいけない

つまり、無個性が夢を見ることもいいが、ヒーローにはなれないという現実も受け止めろ…とのこと

「プロのトップまで言ってるんだ…。これが現実なんだよね…」

ジワリと涙を浮かべる出久くんに、『バカだなァ』と笑い飛ばした

「バッ…………!?」

『“個性”ありきのこの超人社会の中で、無個性になったっていうのは、きっとこれから何かあるってわけだよ？

夢を追い求めるためには、まず何も持たない人間でないといけない』

「…………」

力ありきのこの世界に、私は異常なのかもしれない

『私の知ってる人は、なんの力も持たない無個性が多い
そりゃあ、“個性”持ちの人もいるけど、無個性でも強い人はいるよ？

足蹴で人を倒すとか、剣で人を倒すとか』

「それはすでに強すぎると思う」

『それにはさ、本人の努力があるんだよ』

「…………!!」

『見えないところで努力し続けて、身につけた自分だけの力

私から言わせてみれば、出久くんの「個性」は

夢を追い求める心、そして、人を思いやれる優しさ

そう思うけどね』

君にしかできない、最高の「個性」

『何も“個性”がなければヒーローを目指せないわけじゃない。

筋トレだって、色々やって体を鍛えれば武器になる

道具を使ったっていい、それで強くなれるんならいいじゃん

“個性”だけが強さじゃない、1番強い人は』

トンッと出久くんの胸に手を置いた

『心が強い人』

「！」