現海賊は現在ヒーロー科 (ページ13)

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声の主はかつきくんだった

「な、んで……」

「レンが遅いし、お前らみたいなモブが最近気にいらねぇ奴をしめてるっつー噂は耳にしてた」

ザッザッと土を踏みしめるかつきくんは、「どけ」と睨みを効かせた

上級生たちはそれが怖かったのか、「い、行こ」と駆け出していった

「おい、大丈夫かよ」

『うん、ありがとう』

正直、相手は女の子だしどう相手すればいいかわからなかったから本当に助かった

「早く戻んぞ」

それからというもの、上級生から目をつけられることはあったけど、全てかつきくんが黙らせてきた

4年生も終わり、5年生も終わり、6年生を卒業した春休み

中学へと上がる頃には、かつきくんといずくくんは、すでに距離が出ていた

いずくくんは、「無個性」、かつきくんは「個性持ち」

バカにされるなんて、当たり前だというこの世界

力を持ってなかろうが持っていようが、人間は人間

そんなこと言ってれば、ガイコツにトナカイに変態、長っ鼻にゴム人間だったり……世界にはいろんな人間がいる

無個性の人間がいたっておかしくもなんともない

だけど、この世界は違う

力を持たない者は、弱者なのだと

「レンちゃん、中学なんだけど」

『？』

「小学校は勝手に入れたから、レンちゃんの意見聞いてなかったよね？」

『え、あ、はい』

ぶっちゃけ、憂鬱な生活かなと思ってたら、どっこい

めちゃくちゃ楽しすぎるほどの生活だった

義務教育って言うらしいけど、最高だ

「それでね、中学はレンちゃんの好きなところに行ってもらおうかなって」

『好きなところ？』

「うん。勝己と同じ中学に行くもよしだし、違うところ行くのもよし」

『でも、お金が……』

「そんなこと言わなくていいの!!」

子どもが心配することなんてないんだから!! …と、背中を叩かれたけど、光己さん私は20歳です

「とにかく、決めてね」

光己さんに言われたことを頭の片隅に置きながら、部屋に戻る

『あれ』

「…………」

『どうかしたの？』

私のベッドの上でヒーロー雑誌を広げているかつきくんがいた

「……中学どこ行くつもりだ」

『あれ、聞いてたんだ』