君と一緒に海へ

2話 海賊なんて ページ17

あいつが家に居候すること、2ヶ月が経った









変わらず、夜中に抜け出すこともなく、ただただ平和な時間が流れていた







サボはサボで、あいつと仲良く話す









「それで、居候してるところには慣れたか？」

『うん。みんな優しくしてくれて、とてもいいところ』

「そっかァ、よかったな」

『うん』









…………変、ねェ









「え、ティラ。今なんて言った」

『え？』

「………？」









サボが、何かに驚いた声を上げた









「今、なんて言ったんだ？」

『え、“海賊王”…………』

「(ﾄﾞｸﾝ」

『私、いつか“海賊王”が処刑された場所に行くの』

「なんで？」

「…………………」

『…………私ね、海賊が大っ嫌いなの』

2人「!!?」









見たことのないくらい、裏のない笑顔でそう言う









『海賊が今まで、人々にどんなことをしてきたのか…………。
残された者達の気持ちも理解せず、あるもの全てを破壊して奪って…………』

「ティラ………？」

『だからなの。海賊になりたいって言う人を、そう言う夢を持った人を、私は大っ嫌いなの』









岩から降りたティラは、振り返ることなく歩いて行った









「…どう言うことなんだろうな。海賊が嫌いって」

「そのまんまの意味だろ」

「でも、あそこまで嫌うなんて…なんかあるんだろ」

「…さァな」









ティラside






ｻﾞｯｻﾞｯ









無言で、森の中を歩く









ｸｰｸｰ









かもめが鳴いて飛んでいくのを見る









開けた海が見れる崖の上にでた









青くすみ切った海に、白い雲







遥か遠くに小さく見えた船









『海賊なんて大っ嫌い…………!!!(ｸﾞｯ…!!』









大っ嫌い……………






大っ嫌い、なのに…………









“おれもエースも、いつか海に出て海賊になるんだ!!”









どうして









『嫌いになれないの……!?』









サボくんのことも、エースくんのことも







海賊を目指す彼らを、どうして嫌いになれない









『お母さん……私っ、どうすれば……っ』









“私、海賊大好き!!”

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