2話 ファントムハイヴ家の指輪 ページ15
「やっぱり
あたしが選んだのは、サイズもピッタリ…」
「返せッ」
ﾋﾞｸｯ
「……」
「それを返せ…エリザベス！」
今まで見たことのない怒気で、そう怒鳴るシエル
「なっ…なんでそんな怒るの？あたし…せっかく」
こればっかりは、エリザベスに味方はできないわね
「アニエスお義姉様ッ」
私の方を見てくるエリザベスを、私は『返しなさい』と冷たく言う
「…っ、なによ…あたしかわいくしてあげようとしただけじゃない！
なのになんでそんなに怒るの!? ひどいっ
こんな指輪なんかっ」
ｶｼｬｰｰｰﾝ
「キライ!!」
ザワッとシエルの中で何かが湧き上がったのか、バッと手を挙げた
『シエル』
エリザベスとシエルの間に入り、シエルの挙げた手を掴む
「坊ちゃん」
セバスチャンがシエルに優しく問いかける
「せっかく新調した
シエルの手に
床に散らばった指輪の残骸をシエルは静かに見つめる
『エリザベス、あの指輪はシエルや私にとってとても大切なものなの
ファントムハイヴ家当主が代々受け継いでいる世界でたった１つの指輪だったの
シエルの無礼を許してくれる？』
持っていたハンカチでエリザベスの涙をぬぐう
「そんな…大事な指輪…あたし…」
指輪の残骸を静かに拾い上げたシエル
「シエル…あたし…っ」
ﾋﾞｯ
「な…」
『シエル…!?』
指輪の残骸を窓から投げ捨てた
「シエル!? なんてこと」
「構わん。あんなもの…ただの古い指輪だ
…………
「なんだ、その顔は？」
『……？』
と、シエルは床に落ちた帽子をポンポンと叩いた後、かぶり直した
「だっ…だっで〜」
『……(ｷﾞｮｯ』
さっきよりもひどい顔になるエリザベス
「酷い顔だ、レディが聞いて呆れるな」
胸ポケットに入れていたハンカチで、エリザベスの涙を拭うシエル
「そんな顔の女をダンスに誘いたくはないんだが？」
……フフ…
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2019年7月1日 0時
