悪魔と契約した2人の女王の番犬 (ページ13)

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「…道理で…パーティーにお呼ばれしても、壁の華を決め込む訳ですね」

「僕もアニエスも仕事が忙しい。そんなお遊戯にカマかけている暇など…」

明らかに嫌がるシエルを、セバスチャン

「お言葉ですが、坊ちゃん。“社交(ソーシャル)”ダンスとはよく言ったものでして、夜会や晩餐会場などでは、当然必要になってくるたしなみでございます」

ズイッと差し出される今日のおやつ

「上流階級の紳士ともなれば、ダンスは出来て当然のこと
もし取引先のご令嬢のダンスのお誘いを断りでもすれば、社交界での坊ちゃんの株はガタ落ちに…」

あら、オーチャードフルーツケーキ

「～わかった！やればいいんだろう。誰か家庭教師を呼べ！」

「今から家庭教師(マダム)をお呼びする時間はありません。
今日の処は、付け焼き刃で結構ですから、一曲だけ基礎と言われるワルツをマスター致しましょう」

「じゃあ、僕は誰に教わるんだ？
この家の連中はどう見ても…踊れるとしたらアニエスぐらいだろう」

「ご安心下さい。僭越ながら、私めがダンスのご指導を」

「馬鹿を言うな!! お前みたいなデカイ男相手に踊れるか！」

『大体、セバスチャン。ワルツなんて踊れるの？』

「ウインナワルツなら、お任せ下さい。シェーンブルン宮殿にはよくお邪魔しておりました
一曲お相手願えますか？ご主人様(マイロード)」

と、私に手を差し出してくるセバスチャン

『…………、はあ』

仕方ないわね…

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『いい？1歩目はまずかかとから、しっかりと女性の背をホールドして、曲が始まったらまず左足から…』

セバスチャンの身長はともかく、私とシエルなら体格も似てれば身長の差もそこで大きくない

まさに、ピッタリというわけ

だけど…

『次はナチュラルターン』

ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

『足を前へ滑らせる様に』

ｶﾞｽｯ

『……。』

私の足を踏みまくるシエル

「ダンスの才能が皆無というか、壊滅的ですね。坊ちゃん」

「うるさい!!」

『私にぶら下がってちゃ、ダメなんだけど』

とりあえず、付け焼き刃でいいから早くマスターさせないと

「いいですか、坊ちゃん。“ダンスはワルツに始まりワルツに終わる”と言われるほどです」

セバスチャンの説明に明らかにムスッとするシエル