4きょうだいの絆5

58話 クロー島と珀鉛 ページ17

『シーエールーくーん』

「え」








ヒヤッとしたものが首に当たった






「うわっ!?」

『あはは、驚いた？』

「セレナちゃん」

『コアラちゃんにここだって聞いて、飲み物持ってきたよ』






冷えたドリンク







「ホント、気がきくね」







おれはドリンクを受け取ってゴクゴクと飲みこんだ








「昨日はごめんね」

『え？』

「ついカッとなって、食堂で暴れて」

『ううん、いいの』








セレナちゃんは『私ね』と言う








『想うこと、やめようと思うの』

「え」

『サボはサボで、前を向いて歩いてる
私だけが、しがらみにとらわれてたら、何もできないし前にも歩けない
それが弱点となってそこを突かれたら、みんなの足を引っ張ることになる
現に、レクサス島の時とかそうだったから』

「足引っ張るなんて、そんなのあるわけないだろ？」









キミが想わないで、誰がアイツを想うの









『私、心のどこかで思ってた。
絶対に思い出してくれるって、でも、サボはマーナを選んで思い出さなかった
多分、それほど嫌な思い出だったんだよ』

「そんなこと」

『あるんだよ。自分が貴族で、ゴミ山の人間として育ったことや、悪童4人組として育った私たちのことも、山賊の家で育ったことも、私たち兄妹弟と過ごしてきたことも……
サボにとっては、どこかで嫌な思い出もあったんだと思う
全てが嫌なことじゃない…。でも、少なからず嫌なこともあったはず』






そんなわけない



あいつ、ガキの頃言ってたんだよ？







キミやルフィと出会って嬉しい、心底嬉しくて毎日が輝いて見えるって





光を知らなかった自分に、光を教えてくれたのはセレナちゃんだって





嫌な思い出なんかじゃない、すごく楽しくて嬉しくて、毎日が楽しい生活だってあいつ









『だから、もうやめた。サボが新しい人を見つけたなら、私も見つける
って言っても、7年も待ってたからそう簡単にはできないけど』







どうして笑ってられるんだろう…





辛いはずなのに、泣きたいはずなのに、どうして……









なんで笑えるのさ…




怒りを通り越して、もう呆れてきた





もう、どうでもいい






サボがもし、セレナちゃんを思い出して取り返しのつかないことになったとき






おれは言ってやる








お前が選んだことだって








言ってやる…絶対に

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