9話 髪の毛 ページ46
「…ねぇ、倉梨さん」
『？』
相変わらず小さな声で私を呼ぶ孤爪に『なに？』と聞くと、「虎が呼んでる」と指をさしている
マネージャー業も慣れた頃、山本とはなんとか普通に話せるような仲になり、孤爪は山本のことを「虎」と呼ぶようになり、山本も「研磨」と呼び合うようになった
急にどうしたんだ？と思ったけど、なんか2人とも喧嘩したらしい。男子とはよくわからない
『どした？』
「これ、福永がクロに渡してくれって」
『え、なんだろ…』
「部活のやつだって」
『今日休みだっけ？』
「ううん、委員会で遅くなるからって」
『そっか。わかった、渡しとく』
「うん」
受け取ったプリントをクリアファイルに挟み込み歩き出すと、孤爪も同じようにして横に並んで歩く
歩幅は特に関係なく歩くと、「あのさ」と静かな声が耳に届いた
『ん？』
「後輩、入るかな」
『どうかな。入って欲しい？』
「どっちでもいいかな」
『2年生か…孤爪とはクラス離れるかな』
「…どうだろ、同じだったらいいな」
『どうする？すごい1年生入って来たら』
「えぇ…相手するの嫌かも」
嫌そうな顔をする孤爪にくすくす笑うと「倉梨さんは？」と聞いてくる。『私は曲者1年生入って来たら面白いと思うかな』と持っているクリアファイルの中身のプリントの枚数を数えた
「なんで？」
『そのメンバーでのバレーボールがまた面白くなりそうだから』
「…チグハグだったら意味ないでしょ」
『そうかもね』
「…でも、レベル上げができるならいいかな」
少しだけワクワクとしている顔になる孤爪に、本当にゲームっ子だと思った
黒尾さんが言っていたけど、ゲームへの愛を少しでもバレーボールに傾けてくれたらの意味、なんとなくわかった気がする
ーーーーー
ーーー
ー
「ホァァァァァァァァ!!?」
『(ﾋﾞｸｯ！』
バレー部の部室の方へと歩いていた私の耳を突き刺すような叫び声。なんだと思って足早に向かうと、そこには慌てる山本とすみっこでゲームをしている孤爪がいた
「おまっ、お前ええええ!! その髪、なんとかしろよォォォォ!!」
「なんとかって？」
『……なに』
「倉梨！お前からも言ってやってくれ！貞子みたいで怖い!!」
「知らないよ…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 725人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紅 - いつも楽しませてもらってます！4話夏なのですが、黒尾が3年と言っている所があります。見間違いであればすみません！ (3月14日 23時) (
レス) @page30 id: 147f4e35b6 (このIDを非表示/違反報告)
サッカーバカ(プロフ) - もちだんごさん» ひゃー！すみません！ご指摘ありがとうございます！！また修正します！これからもよろしくお願いします！ (3月11日 19時) (レス) id: c458529519 (このIDを非表示/違反報告)
もちだんご(プロフ) - いつも楽しみにしております！5-2話なのですが、本編の一年前であるはずなので夜久さんは3年ではなく2年なのではないかと思います。勘違いであれば申し訳ございません！ (3月11日 17時) (レス) id: 993fbeabfe (このIDを非表示/違反報告)
???(プロフ) - 続きが気になる…！楽しみにしてます！ (2月29日 23時) (レス) @page13 id: bbca191512 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (2月29日 11時) (レス) @page12 id: 147f4e35b6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2024年2月28日 9時
