グッバイ、クレメンス (ページ7)

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全校集会後、2-Aのクラスには、他学年の女子などが朝から噂の転校生様を一眼見ようと集まっていた

「うわあ、すっごい人だかり」

『通れない』

移動教室で通るはずのA組の前にわらわらと人だかりができており、私たちD組は通れずじまい
どうするか悩みながら通っていると「Hi」と教室の中から声がかけられた

「知り合い？」

『えっ』

転校生の彼が綺麗な指先を伸ばして手を振っている
にっこりとした笑みに女子生徒は黄色い声をあげては目をハートにして頬を染め上げた

巻き込まれている

「いいの？手、振ってるけど」

『いいんじゃない？それより、遅れたら面倒だよ？次、大野の授業だし』

「確かにめんどいかも」

「2人とも、担任の先生だよ…」

後ろからついてきていた渚くんに「いいのいいの」と2人で合わせて歩いていく

なかなか通れない中、女子生徒が彼を見ようと前に行ったが前にいた女子が押し返してきた

そのおかげで、こっちに女子生徒がきた

『わっ』

「っと」

横へとよろけた私を受け止めたのは、隣に立っていたカルマだった

『ご、ごめん』

「いーよ」

ヒラヒラと手を振りながら笑って歩いていくカルマのあとをついていくと、先ほどよりも歩きやすかった

『最初からこうすればよかった』

「そんなカルマくんを人避けに…」

『なんのためにでっかいと思ってるの、渚くん』

「ねえ、星華。俺の扱いひどくね？仮にも幼馴染なんですけど」

結局、彼は一日中女子に騒がれ続けていたが、顔色ひとつ変えずに過ごしていた

「にしても、あのイケメン転校生、すっごいね〜
女子に囲まれても、顔色ひとつ変えなくてさ」

『あんたの場合、女子問答無用で跳ね除けるもんね』

「そーそー。めんどうじゃん、女子って」

『あんたのことを好きな子に言ってあげたいわ』

「俺の性格をよーく知ってるのは、渚くんの星華ぐらいだよ」

『あとは他校生でしょ…あんたがカツアゲした』

「そうそう、今日も釣りでもしようかなって。星華はくる？」

『行くわけないでしょうが』

明らかに巻き込もうとしているこの悪魔をどうしてやろうかと考えるが、男女の力の差のおかげでそれができず悔しくてムカつく