グッバイ、クレメンス (ページ23)

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2話ページ23

ー休日ー

無音で静かな施設、図書館は読書好きな人たちにとっては憩いの場であろう
そんな場所でただひたすらに活字を追っていく時間を過ごすのも、また幸せな時間と言えよう

ガタンと目の前のの椅子が引かれて誰かが座った
その意識をそちらに少しだけ向けると、ふんわりとした金髪が揺れた

(え…)

難しい英語の本を数冊脇に置いて一冊を手に取って読み込んでいる男がいた
金髪にグリーンアイ、とても綺麗な肌と整った顔。どう見たって私の知っている人

(なんで…)

あと残り数ページある本を持ちながら、動揺する
どうしてここに？そりゃ、本が好きな彼だから図書館に来るのはわかってるけど、どうして目の前に？

グルグル頭が回っていると「ちょっと」と後頭部にポンと本が乗る

「目当ての本があるからって読みふけんなよ」

『カ、カルマ』

「ん？なに？」

少しだけ不機嫌なカルマは、眉を寄せている
目の前に座っている男のことはただの季節外れの転校生としか映っていないようでまあいいけど、それにしたってなんで不機嫌なんだ？

「つか、参考書見に行くって言ってたじゃん。図書館で参考書買えんの？」

『面白い本があればって思ってたんだよ』

「ふーん？それで、あったの？」

『あぁ、うん…まぁ』

「それどっちの意味？」

呆れているカルマに『いや、うん』と微妙な態度をとるとなおのこと眉を寄せて「はいはい、なかったわけね」と頭の後ろで手を組んで歩いて行く

席を立ち、読んでいた本を戻してチラリと彼を見る

(もう、会わないって決めたのに)

神様はどうやら、彼の味方らしい

「参考書、うちのレベルだともう高校生レベルなんだよね」

『そのうち、大学生レベルになってそう』

「あるかもね〜」

数冊の参考書を購入し、帰路へと着く

「んじゃ、またね〜」

『うん』

自分の家のドアを開けて中に入って行くカルマを見送り、自分の家の門を開けて中に入る
階段を上がり、鍵を開けて『ただいま〜』と言い、靴を脱ぐと「あぁ、おかえり」とエプロン姿の家族がひょっこりと顔を出した

やっぱり、こういう休日最高