1-5 ページ21
そんな怪物に、期待も警戒もされなくなった、認識さえもされない人間の気持ちなんてわかるわけがない
わかってくれる人なんて
“見つけた”
(よそう…)
彼にすがるのは、もうおしまいなんだ
ー5時間目ー
「お題に沿って短歌を作ってみましょう。ラスト七文字を「触手なりけり」で締めてください
書けた人は先生のところへ持ってきなさい。チェックするのは、文法の正しさと触手を美しく表現できたか
できた者から今日は帰ってよし！」
触手って季語なのか？
頭を悩ませながらシャーペンを持っていると「先生、しつもーん」と言う生徒
「…？なんですか、茅野さん」
「今更なんだけどさあ、先生の名前なんて言うの？他の先生と区別する時不便だよ」
「名前…ですか。名乗るような名前はありませんねぇ
なんなら皆さんでつけてください。今は課題に集中ですよ」
「はーい」
どうしようかなと悩みながらペンをくるくると回していると「お、もうできましたか、渚くん」と渚くんが席を立って歩いて行く
もうできたんだ。と、興味もなくチラリと見たあと自分の手元を見る
その瞬間、とてつもない爆発音が聞こえた
「ッしゃあ、やったぜ!! 100億いただきィ!!」
「ざまァ!!」
「まさか、こいつも自爆テロは予想してなかったろ!!」
『自爆テロ…？』
秒速で飛んできたBB弾に当たりながら教卓前で馬鹿騒ぎをしている寺坂たちを見て眉根を寄せる
一体何があったって言うんだ…
「ちょっと、寺坂。渚になに持たせたのよ！」
「あ？オモチャの手榴弾だよ。ただし火薬を使って威力を上げてる。300発の対先生弾がすげぇ速さで飛び散るように」
「なっ…」
「人間が死ぬ威力じゃねーよ。俺の100億で治療費ぐらい払ってやらァ」
うぜぇ…その一言につきる
ガタッと席を立とうとした時、異様な空気感にピリッと肌がざわついた
冷や汗が流れ落ちる
「実は先生、月に一度ほど脱皮をします。脱いだ皮を爆弾に被せて威力を殺した
つまりは、月イチで使える奥の手です」
ヒヤッとした全身はどんどん指先から冷たくなるのを肌で感じる
先生の顔色は見るまでもなく真っ黒
キレてる
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 36人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2023年9月18日 13時
