グッバイ、クレメンス (ページ18)

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「おはようございます。発砲したままで結構ですので、出欠をとります」

全員の出欠を確認するまで、この銃声は止まない

「遅刻なし…と、素晴らしい！先生、とても嬉しいです」

(速すぎる!!)

(クラス全員の一斉射撃でダメなのかよ!!)

ターゲットは、先生

「残念ですねぇ。今日も命中弾はゼロです
数に頼る戦術は、個々の思考を疎かにする。目線、銃口の向き、指の動き、一人一人が単純すぎます
もっと工夫しましょう。でないと…最高時速マッハ20の先生は殺せませんよ」

このとんでもないことを言う生物は、私たちE組の担任なのだ

「本当に全部よけてんのかよ、先生！どう見てもこれただのBB弾だろ？
当たってんのに我慢してるだけじゃねーの!?」

前原の訴えに、先生は「では弾をごて渡さない」と言い、銃を受け取った

「言ったでしょう。この弾はキミ達にとっては無害ですが…」

ﾄﾞﾌﾞﾁｭｯ

「国が開発した対先生特殊弾です」

自分の“触手”を撃ち抜いた先生に、全員がギョッとする
床に落ちた触手はビチビチと動いていて、見ていて気持ちが悪い

「先生の細胞を豆腐のように破壊できる。ああ、もちろん、数秒あれば再生しますが
だがキミ達も目に入ると危ない。先生を殺す以外の目的で室内での発砲はしないように
殺せるといいですねぇ、卒業までに」

丸い球体の黄色い顔に、緑の縞々が入る

「銃と弾を片付けましょう。授業を始めます」

チャイムと同時にほうきとちりとりを使って床に散らばった弾を集めていく
朝はこうして始まる。これが椚ヶ丘中学校3-E暗殺教室

始業のベルは今日も鳴る

ー2時間目英語ー

「そこで問題です、木村くん。この4本の触手のうちの仲間はずれは？」

「…青い触手？」

「正解!! 青の例文だけWhoだけが関係詞です」

わかりやすい授業をするこの先生。なんで超生物に授業を教えられ、しかもその先生を暗殺する状況になったのか

それは、昼間でも出ている三日月のおかげだ

3年生の初め、私たちは二つの事件に同時に遇った

ひとつは、月が7割蒸発してしまったこと